宮城県北端の町、亘理は伊達一門の伊達成実2万3000石の城下町で、陸前浜街道の宿場町としても発展し六歳市も立ちました。町場には商家が集まり10軒もの酒蔵が建ち並んだといわれています。
亘理町上町には国指定登録文化財の老松永田醸造があるというので訪ねてみました。
老松永田醸造は宮城県の酒蔵リストにも載っておらず、おそらく廃業して建物だけが保存されているのではと勝手に解釈。建物自体も実際に残っているのか不安でした。
しかし、亘理町の上町へさしかかると不安は大きく裏切られます。予想に反して土蔵造り商家群の街並みが残されていたのです。
まず、マルジン味噌・醤油の看板をかかげた古い店蔵は明治2年創業の「山田屋」。
そこから土蔵造りの町家がとびとび続き、ついに文化財・老松永田醸造の店舗が登場しました。ここで誤りに気が付きます。永田醸造は酒造業ではなく江戸時代には「永田屋」の屋号で知られた味噌・醤油業だったのでした。しかもHPもありました。
全面に海鼠壁をあしらい、屋根の上にある箱棟の細かな造形、重厚な建物を見られただけでも十分に訪れたかいがありました。
さこの建物が文化財として登録された事は、他の建物を含めた街並み保存の動きに、つながるのではないかと思います。
さて、江戸期には10軒をも数えたとされる酒蔵は、今は1軒も残っていません。
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