飯田市の南郊外、松川が天竜川に合流する付近に松尾地区があります。この松尾地区の中心地が八幡町といい、JR言い出せんの伊那八幡駅が玄関口となります。
八幡町は町の名の通り、八幡宮(鳩ヶ峰八幡宮)の門前町から発達し、その後宿場町、商業の中心地へと発展した町でした。
飯田城下には東海道と信濃を結ぶ2つの街道が合流します。上街道とも呼ばれた伊那街道
(三州街道)と下街道とも呼ばれた遠州街道です。
伊那八幡宿は上町・中町・下町からなり、遠州街道の終点、飯田城下で伊那街道に合流します。またこの宿場町の中程からは秋葉街道が東へ分岐していました。丁字路には宝暦10年
(1760)石の道標が今も残ります。
遠州街道は公式な街道では無く、各宿場町も自然発生的に生まれたような街道でしたが、人馬や物資の往来は多く、町は栄え、飯田城下町の商店よりも優れた呉服商や酒屋、油屋、菓子屋、元結屋等が軒をならべたといいます。道には荷馬が溢れ、人々は馬の間を潜り抜けるありさまだったとか。現在の国道151号線にあたる大通りが大正11年に改修され、商店はみなそちらに移り、旧街道筋は静かになって、町並みが今に残されたのです。
|