新潟県の中南部、標高890mの刈羽黒姫山麓に位置する高柳町。そこに中越最大の茅葺きの里として知る人ぞ知る隠れた聖地・荻ノ島はあります。
環状集落と呼ばれる独特の配置形態はまさに合理的なコロニーそのもの。
水田を中心に円にそって集落を配置する環状集落は、外的から中央の水田を守り、かつ貴重な「水」をエガワと呼ばれる水路を使って全戸に均等に効率的に配るために考え出されました。さらに農作業や生活に不可欠な日照を各農家で均等に分け合う共同体集落の理想的な姿でした。
荻ノ島は荻野島とも書き、谷間深い鯖石川上流域、川の浸食や屈曲によって形成された半島状の河岸段丘上にある集落で、それゆえに「島」とも「沖の島」とも呼ばれていました。また、この段丘地一帯はモウギの原(真萩の原)と言われていました。
荻ノ島は、年間を通してすばらしい風景を奏でる集落ですが、やはり水田の季節から稲穂の季節が最も美しいのではないでしょうか?雪の季節もよさそうに思えますが、なにせ積雪4M近い豪雪地帯なのですべてが雪に埋もれてしまいます。
似たような環境に京都の美山や富山の五箇山がありますが、それらのような観光地化や文化財指定がなされていないため、保存整備がほとんど行われず、屋根の葺き替えも住民負担で行われている為、年を追うごとにトタン葺きに変わっていく姿を見ると残念でたまりません。
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