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福島県いわき市に接する県最北端の北茨城市。その県境に古くから知られる風光明媚な港町平潟があります。ロングビーチとも言えるような平坦な海岸線が続く陸前海岸の中で、数少ないリアス式海岸のような丘陵台地が海岸まで迫るわずかな平坦地に寄り添うような港町ですが、黒浦・本町・井戸の入・中町・東の5本の通りが港を中心に手のひらを広げたように伸び、ここに50軒近い旅館や民宿が軒を並べています。現在夏は海水浴客、そして冬は「あんこう料理」さらに天然温泉と年間を通して行楽客で賑わう著名な港町です。
甌穴なども見られ、見るからに天然の良港である平潟港は古くから多数の漁船を有する一大漁港として、さらに近世以降は東廻り海運の中継港としても発展。さらに江戸と仙台を結ぶ陸前浜街道が近くを通る事から陸路と海路の接点としても栄えました。
大津や磯原も大きく栄えた港町でしたが、平潟は棚倉藩の表玄関として津奉行が置かれたほか、陸奥仙台藩もここに陣屋を置いて物流を取り締まりました。当時の記録にも”富商が多く都会のようである”とその繁栄ぶりが見られ、「洗濯屋」と呼ばれる平潟遊郭もその名を高めていました。
港を見下ろす高台に茅葺きの屋敷が目を引きます。江戸期に庄屋と浦役人を兼務した鈴木家の屋敷で鈴木主水屋敷、別名霽雲閣とも呼ばれています。しかし、残念ながら現在は崩壊寸前で、その行く末は分かりません。
かつての平潟の発展を支えた産業構造は大きく変わってしまいましたが、漁港の大半を占めるという旅館や民宿、そして5本の通りに並ぶ伝統的な家々に往時の面影を重ね見ることができました。
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平潟の酒蔵「住の友酒造」 |
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平潟港を見下ろす高台に建つ鈴木主水屋敷・別名霽雲閣 |
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