日立市の中心部から車で約20分、海岸沿いの町、川尻町は隣りの十王町と合併するまでは市の北東端の町でした。川尻という名は十王川の川下に位置することに由来し、その名は室町期からすでに見られます。川尻海岸は古くから海鵜(ウミウ)の渡来地として知られ、海鵜は県の天然記念物に指定されています。
江戸期は水戸藩領で漁業と海産加工が産業の中心でしたが、町を岩城相馬街道(後の陸前浜街道)が通る事から市場も開かれ活況を呈したといいます。
現在も旧街道沿いには日渡酒造や味噌の醸造蔵が並び、伝統的な商家建築もわずかに残され往時を偲ばせます。さらに川尻町は砂浜の上に形成された町であり、県下で最も海に近い酒蔵といわれる森島酒造もあります。
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