栃木県東端、八溝山系と那珂川に囲まれた山間の小さな城下町、烏山。
町の名は応永25年に那須氏が築城した烏山城にちなみます。那須家は秀吉の時代に改易され、次いでこの地に入った堀氏によって城下町の基礎が築ずかれますが、その後領主はめまぐるしく入れ替わり、ようやく幕府老中を務める大久保家3万石の烏山藩として落ち着き明治維新まで150年続きました。
烏山は半農半商の城下町で、特産物は煙草と手すき和紙。下館から黒羽を結ぶ細川街道(現国道294号)と東西に抜ける街道が交差し、そこに町人町や宿場が形成されました。
現在烏山の中心部には幾度も折れ曲がる街道筋や丁字路に桝形などが城下町の遺構が数多く見られますが、伝統的な建築物は中央町の商店街に僅かに見られる程度しかありませんでした。文化財級の重厚な商家や土蔵などの多くが、生かす方法が見つからず、風化する時間だけが過ぎていくさまを感じました。
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