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商家町土蔵街として知られる栃木市内の中心部には、いまなお豪商の屋敷や商家の町並みが多く残されています。都市化が進むなかで、いたるところに点在する伝統的な建築物をなんとか保存しているといった様子が伺えます。
この栃木の町並みのすぐ北側に嘉右衛門町という町があります。街道に沿って連続するこの町並みは「栃木」と同じ項で扱うべきかもしれませんが、あまりに町の性格や雰囲気が違いすぎているので、独立して項を立てました。
嘉右衛門町は江戸時代に岡田嘉右衛門が独力で開発した町場で、当事は嘉右衛門新田村と呼ばれていました。岡田家は代々嘉右衛門名を世襲。この地が幕府領から高家・畠山氏の知行地となると、屋敷内に陣屋を置き領内13ヶ村の名主を勤めました。
明治に入り嘉右衛門新田が例幣使街道沿いの市街地として整備されたのを機に、嘉右衛門町となります。隣接する栃木町の急速な発展の余波が嘉右衛門町を発展させる事になったのですが、その結果栃木商人と嘉右衛門商人との間で紛争が絶えませんでした。
中心市街から僅かに離れているだけで、古い伝統的な佇まいの街並みがおよそ500mにわたって続いており、まさかこれほどまでの街並みが残っているとは思いもよりませんでした。嘉右衛門の町並みは江戸時代の物ではなく明治大正期以降の建てられたものと思われますが、僅か一区画で時間の流れがまるで違っていました。
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