佐野市の北に隣接する田沼は中世に一瓶塚稲荷神社の門前町として始まり、六斎市が開かれる市場町として発展しました。町の中心は上町・仲町・角町・下町に分かれ、古くは「宿」と呼ばれていました。
平安中期ごろ現在の佐野市付近に藤原秀郷が創立した関東五社稲荷の一つが、一瓶塚稲荷神社の前身で、その後佐野氏によってこの地に移されます。佐野氏は唐沢城を築城する際、城後方の守りの為に塚を築いて社殿を造営したと言われています。
以後一瓶塚稲荷神社は佐野氏の保護のもと社領を拡大し、佐野家の総社として力を伸ばしました 。
田沼駅前に一瓶塚稲荷神社はあります。神社は駅前商店街の一画にあり、上町までの間に古い商家や旅館が点在していました。駅前周辺の商家は看板建築化が著しいですが、黒漆喰の重厚な建物です。
現役で衣料店や金物店を営んでいる古い佇まいの商家がある中で、廃屋となっている建物も散見され、行く末が気になります。
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