|
|
古場町は常滑市中心市街の南郊外、境川の河口に位置する町で、同川を挟んで苅谷町と接し、国道沿いに2軒の酒蔵、澤田酒造と滝田酒造が並んで町並みを形成していました。この一帯は古くから農村地帯でしたが耕作地が少なく、江戸期には鍛冶の出稼ぎや廻船を営む家もありました。澤田酒造の前身である沢田儀左衛門家は寛政4年にこの地で唯一蔵を構える酒造家であり、酒は伊勢へと運ばれていました。
明治初期には一時酒造業は不況に見舞われますが、明治20年ごろには、沢田家及びその分家を始め、現在の滝田酒造の前身である滝田文三郎家や後藤家など9軒の酒蔵が生産を始め、古場町の主要産業となります。
この地域が特に酒蔵が多くなった背景には、酒造りに適した檜原の湧水の存在が大きく、境川の河口近くには各蔵共同の精米所があったと言われています。
その後の古場の酒蔵はというと、大正期に澤田・滝田・後藤の3軒に減り、さらに昭和18年後藤酒造が廃業となり、現在の澤田・滝田の2蔵になってしまいました。
しかし、滝田酒造も近年廃業してしまい、現在は澤田酒造1軒のみとなってしまいました。
現在の国道247号線である、旧常滑街道沿いには澤田酒造の建物を中心に、伝統的な商家や町家がいくつか見られます。厨子二階よりも本二階の建物が多いことからも明治期以降に街道沿いで諸商売が起こったものと思われます。最盛期には9軒の酒蔵があり、その多くは他の地域へ移出されていたはずですが、それだけでもかなりの就労人口を有していたのではないでしょうか?
|
|
唯一残った澤田酒造 |
|
|
|
常滑街道沿いの家並み |
|
|