知多半島南端の南知多町には内海・豊浜・師崎・大井と4つの漁港区がある。豊浜はその西海岸に位置する港町で、南知多町の中心地でもあります。
豊浜という地名は新しく、明治11年に須佐村と中須村が合併して生まれたもの。古くは須佐の入江として万葉集にも登場する歴史のある港であるものの、自治体の合併に多く見られる複雑ないきさつがあった事が伺い知る事ができる、無難な地名と推測できる。それでも須佐湊は古くから伊勢湾漁業の中心地であり、江戸と大坂を行き来する航路の寄港地として発展していました。
南知多町の中心地として区画は整っていますが、豊浜港に近い豊浜小学校付近には、一歩路地を入ると漁村らしい迷路のような集落の姿があります。伊勢湾一帯に見られる黒板張りの土蔵や工場、土塀のほかに、漆喰の建物も見られました。民家の多くは伝統的な様式で維持されていますが、無住の建物の多くは自然風化にまかせたような状態でした。
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