恵那市の中心部にある大井町は、古代東山道美濃八駅のひとつ大井駅にはじまり、江戸時代には中山道46番目の宿場町として人や物資で賑わった町でした。またこの地は中山道と尾張・伊勢に向かう下街道の分岐点でもあり、旅人の他、尾張商人や伊勢参りの参詣者も多く往来し、町の繁栄は続きます。大井宿の概要は本陣・脇本陣・旅籠は41軒、横町・本町・竪町(たてまち)・茶屋町・橋場の町からなり、それぞれの町は6つの桝形で区切られていました。
旧道から大井宿に入ると、まず最初に横町に残る旧本陣跡の林家邸があります。
昭和22年の火災で主屋を初めとする屋敷の大半は焼失してしまいましたが、本陣門・老松・庭園などが残されています。本町には旧庄屋・古山家(ひし屋)邸が資料館として公開。街道筋から路地にはいると旧庄屋を務めた商人の古屋邸。再び街道にもどると明治天皇行在所となった旅籠をはじめ商家や料亭など往時を偲ばせる伝統的佇まいの建物が残されています。
ただし駅前市街地の場所柄、周囲にはビルが迫り、街並みの連続性は失われているものの、逆によくこれらの街並みが残されたと感心してしまいます。
江戸時代の遺構として残る桝形と、現在の通過交通の速度低下を促すためのジグザグ舗装が街並みに立体感と奥行きを与えていたのは、偶然ながらも不思議な光景でした。
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