夫婦岩と興玉神社で有名な二見浦に望む二見町江地区は、日本最初の海水浴場の地と言われる一風変わった町です。海岸沿いの茶屋地区には、明治期に建てられた風格のある旅館街に天皇や皇族の宿泊施設であった「賓日館」があります。
興玉神社の門前町でもあった二見浦は、古くから伊勢神宮への参詣者や神官が潮水に浴して心身を清める「みそぎ場」でした。明治に入ると海水浴という習慣が輸入され日本で最初の指定海水浴場となると、大型の旅館が建ち並び現在の姿が生まれました。明治39年、国によって正式な海水浴場に指定されると天皇や皇族が避暑や水泳訓練などの目的で滞在するようになります。
妻入切妻や妻入入母屋のムクリ屋根造りと、他ではあまり見ることの出来ない旅館建築の街並みは圧巻。それ以外にも平入り2階建ての旅籠や商店、料亭などがこの通り沿いに残されています。
現在資料館として公開されている県指定有形文化財の「賓日館」は明治20年、伊勢神宮に参拝する賓客の休憩・宿泊施設として建設されました。
明治天皇の母・英照皇太后のご宿泊に間に合うように急ピッチで建設が行われ、その後、大正天皇(明宮嘉仁親王)をはじめ、歴代諸皇族、各界要人が数多く利用しました建物です。
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