伊勢奥津から東へ少し行った場所が石名原です。山を一越えするともう奈良県。
大和国萩原(奈良県宇陀市萩原)で初瀬街道と分かれた伊勢本街道は、御杖村を経て杉平から国境を越えて伊勢へ入ります。よってこのあたりは古くから「伊勢地」と呼ばれており、美杉町に合併する前は伊勢路村でした。また雲出川支流の伊勢地川にもその名が残ります。
伊勢本街道は現在国道368号線がそれにあたりますが、伊勢地川の河岸段丘上を走るこの街道沿いに伝統的な家並みが連なる集落がいくつかありました。
その一つ石名原は農業と林業を生業とする集落ですが、間の宿的な一面もあったと思われ、明和9年(1772)石名原の無足人(郷士)中子家に国学者本居宣長が宿泊した記録が残されています。
石名原の集落は、なんでこんな場所にと思うほど、重厚でかつ美しい。もちろん過疎の波はこの地も無縁ではなく、無住の家も目に入りますが、多くの家々が手入れが行き届き、景観が維持されています。町が関わっているのでしょうか?
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