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  吉見
よしみ
 大坂府で最も小さい半農半漁の町
 大阪府泉南郡田尻町吉見・嘉祥寺
伝統様式古民家(本瓦葺き)・土蔵  なし 南海本線・吉見ノ里駅
 
 

田尻町は、大阪府の臨海部南端、周囲を泉佐野市と泉南市に囲まれてポツリ孤立したような人口7,900人ほどの小さな町です。その面積も全国の町村で1位、2位を競い合うほどの大きさで、嘉祥寺(かしょうじ)と吉見の2地区からなり、その両地区の間に流れる田尻川に町の名が由来します。

田尻町は歴史の古い漁村ですが、タマネギの特産品でも知られています。明治の中頃から始まり、その優れた品質は今でも京阪神市場でブランドを確立しています。
のどかな町のイメージですが、近年沖合に関西国際空港が出来ると、その中央部、旅客ターミナル地区も田尻町域に含まれるのです。飛び地ですが、その面積は第2滑走路が出来ると本町を上回り、町の面積も一気に2倍近くになる予定です。

吉見も嘉祥寺も戦国期からその名が見られる半農半漁の集落で、紀州街道が町内を通過し、街村のように民家は並んでいますが、商家や旅籠の類は見られませんでした。しかしよく見ると実は街村ではなく、海側に向けて入り組んだ迷路のように集落が広がっているのです。この漁村集落特有の密集地区には建築様式はさまざまですが、白壁に6尺ほど腰板を張り巡らせたファサードは統一され、入母屋造りや「角間造り」など、漆喰の生えた伝統的かつ重厚な主屋や土蔵が建ち並んでいました。さらに屋根瓦は大半が本瓦葺きですから驚かされます。

今回は吉見をメインに訪れましたが、隣りの嘉祥寺には、田尻町で唯一の酒蔵である、田原酒造の伝統的な建物群が和歌山街道近くで町並みを形作っています。

 
 
 
 
田尻町の酒蔵          
清酒 「虎勢」 田原酒蔵 大阪府泉南郡田尻町嘉祥寺904 0724-65-0066