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春照

すいじょう

北国脇往還の宿場町・かつて東海道線の駅が置かれた町

滋賀県米原市春照 【旧・坂田郡伊吹町2005年合併】

 


旧伊吹町の春照(すいじょう)は関ヶ原と米原の中間に位置し、伊吹山南麓の扇状地に発達した小さな町です。春照は5年に1度、9月に伝統の太鼓踊りが奉納されることでも知られている町でもあります。かつて北国脇往還(現在の国道365号線が踏襲)が通り春照はその宿場町でした。「春照」と書いて「はるてる」では無く「すいじょう」と読むこの難読地名ですが、PCで一発変換された時は驚きを通り越して興奮と感心に包まれていました。



春照の語源を調べると、古くは水上とごく普通に記されていた事を知ります。伊吹山南麓にあり”水の上と”いう意味とだそうですが、それがどうして「春照」の字になったかは不明です。宿場町としては本陣・問屋・旅籠・商家が軒を連ねていたそうですが、脇街道な為に生計は農家が中心で、文献には家数167軒のうち約40軒が街道筋で酒屋・醤油屋・旅籠その他雑商などがあったと記されています。



さて、この春照には明治期以降にもう一つの顔を持っていた時期がありました。それは東海道線の駅がこの春照に置かれていたのです。東海道線は当初、現在のルートとは違って関ヶ原から伊吹山麓を抜けて長浜駅までを結び、そこからは琵琶湖汽船で大津まで、湖上を渡っていたのでした。その時代の関ヶ原 - 長浜間に設けられた唯一の駅がこの春照でした。



この路線はすぐに米原経由に切り替えられ、春照駅はわずか6年で廃止されてしまいます。現在路線跡の一部はJRバスの専用路線として転用されています。町の中心部から国道8号線の春照下まで真っ直ぐに伸びる道が「ステンショ道」といいます。伊吹山麓で唯一の直線道です。この道沿いの住人をかつて地元では「ステンショの人」と呼んだそうです。



「ステンショ道」の辻付近の家並み


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