宮津湾に流れ出る世屋川の上流域、標高370mの世屋高原の中で世屋谷と呼ばれる地域の中心であった上世屋集落。日本の里100選に選ばれ、また集落を含めた里山景観が京都府指定無形民俗文化財に選定されるなど、近年「かやぶきの里」として注目されていますが、住民の高齢化と過疎化が急速に進んでいます。
世屋地域は丹後半島有数の豪雪地帯で、冬季は2〜3mの積雪となり、3月から4月まで続くこともありました。村民はあたかも穴居生活をしているように、昼も松を焼いて明かりをとっていたといいます。ゆえに上世屋の集落は入母屋造りですが、合掌造りのように屋根勾配が急な造りとなっています。また上世屋では昭和19年(1944)に大火で全集落が焼失した為、古い年代の建物は残されていません。多くがトタン葺きとなる中で、近年NPOにより茅葺きの復元が進められています。
NPO法人やボランティアの手によって葺き替えられた民家。
1975年代には1,400枚近くあった上世屋の棚田は、過疎化に加えて、その作業効率の悪さから急速にその数を減らし、現在は300枚ほどになっているそうです。上世屋の棚田は"コナワ"と呼ばれる溝が巡らせてあり、地下水を温めてから田に入れる仕組みが施されています。
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