綾部市の郊外、舞鶴方面へ国道27号線を7kmほど北上すると、「和紙の里」として知られる黒谷地区があります。舞鶴湾に注ぐ伊佐津川と支流黒谷川の合流する峡谷に位置して、平家の落人伝説も残る「和紙の秘境」とも称される小集落です。秘境とはいっても現在は国道沿いにありますが、この地で造られる黒谷和紙は京都府指定無形文化財に指定されています。
黒谷和紙は江戸時代に耕地の少ない山家藩を支えた特産品として奨励され、やがて全国に知られるようになります。藩政時代後の明治から大正にかけて黒谷の紙漉きはこの地域の主業として益々盛んになり、明治5年の戸数は111軒を数えましたが、現在この黒谷で和紙の仕事に携わる家はわずか4軒となっています。
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