明日香村の中心部から南へ約4km。古歌にもしばしば詠まれた飛鳥川を遡り明日香の棚田で有名な稲渕を抜けた先。このあたりは奥明日香とも称される飛鳥川最上流部、標高400m級の山岳地帯に囲まれた山間部で、ここに栢森(かやのもり)という名の集落があります。地内には延喜式にも見える古社「加夜奈留美命神社」があり、地名はその名が転じたものか、また山峡の緩やかな傾斜地を意味する「カヒナルミ」という語が転じたとも言われています。この栢森集落は山間の僻地と思われがちですが、古くよりこの先の芋峠を越えて吉野に至る街道筋でもあり、田畑がほとんど無いこの山間部でも人々の往来があってこそ発展した集落ではないかと思われます。
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