桜井市三輪にある大神神社(おおみわじんじゃ)は別名三輪明神ともいい、日本国内で最も古い神社の一つと言われています。主祭神は大物主大神(おおものぬしのおおかみ)で稲作豊穣のほか、酒造りの神様という事もあって是非にとその門前町を訪れて見ました。
酒造りの信仰を集める神社の門前町だからといって、酒蔵がひしめいているわけではありませんが、かろうじて一軒の酒蔵がありました。それより三輪は三輪そうめんが有名です。三輪の町並みは神社に対して垂直に南北を走る上街道沿いに発達しています。三輪は中世から初瀬や伊勢へ通じる上街道沿いに発達した市場町であると主に、大神神社の門前町的な性格も合わせていましたが、宿場町ではありませんでした。
中世の町らしく道筋が幾度もカギ状に折れ曲がっていますが、この三輪から金屋地区は古くから交通の要衝で古代より市が立っていた事もあって、軍事的にも重要な地だったようです。幾度も折れ曲がる上街道筋だけでなく、裏路地にも伝統的な商家や町家が数多く残されていました。仕舞屋になっている商家もありますが、今も現役で商売を続けている商家もあります。
大神神社は酒造りの神様を祀っているだけあり、酒蔵とは深い繋がりがあります。
酒蔵や酒販店の軒先に掲げられた丸い玉は「杉玉」もしくは「酒林」と呼ばれ、酒屋のシンボルとして古くから伝わり、新酒を知らせる合図として毎年新しい杉玉に交換されます。この杉玉が大神神社発祥といわれ、現在も毎年11月に杉の舞が奉納された後、杉玉が製作され全国の酒蔵へ贈られるそうです。
三輪の酒蔵・今西酒造は江戸時代の寛保3年(1743年)創業の老舗で、清酒の他にさまざまなリキュール酒にも取り組み、また奈良市街には蔵元直営のダイニングバーも経営する、なかなか精力的な酒蔵です。
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