JR天理駅から南へ約3km。同じくJR桜井線の長柄駅の南側を南北に走る細い旧道沿いに伝統的な家並みが残る長柄町があります。この長柄は平安期からすでに古い荘園としてその名があり、江戸期に街村を形成して次第に町場化していったそうです。
享保6年の記録では、家数201軒、人口839人と記されています。はじめは農間余行で小規模な家内制手工業や各種商売が行なわれ、次第に階層分化が進んでいった結果、商人へと転じていったものと思われます。江戸時代後期の記録では、酒屋や油屋、醤油、豆腐、素麺の他、たばこ屋や質屋、呉服屋に各種生活雑貨を取り扱う店などが東西の通り沿いに建ち並び、在郷町へと発展していきました。
以前にはこの町並みの一画に清酒「長龍」を醸す飯田本店の酒蔵もありましたが、現在は同家から分家した現在の長龍酒造に引き継がれ、酒蔵は姿を消してしまいました。
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