古くは石見銀山の積出港として栄え、温泉の町としても知られる温泉津の1つ江津寄りに福光という集落があります。福光海岸を見下ろす丘陵部、JR石見津田駅前から瑞光寺にかけてL字の街村を形成。以前は福波大字福光と呼ばれたこの地区は旧温泉津町で最大の水田地帯である一方、福光石の名で古くから知られる採石場や三子山鉱山から産出される硅砂の精製工場で栄えました。やがて明治期以降からは商工業者の分化にともなって、石工集団の集落として知られ、大工と左官の多さはいまも受け継がれています。そして中国地方全域に出稼ぐ「石見左官」の集落の一つでもありました。福光川河口は遠浅の砂浜で海水浴場となっていますが、集落のある一帯は湊という字で、古くは大きな港町だったのでしょうか。
瑞光寺への参道筋の家並み |