大東町は宍道湖の南約11kmの山間部に開けた東西に細長い平野部にある町で、斐伊川の支流赤川が阿町の中央を西流しています。木次線の出雲大東駅が町の玄関口ですが、旧市街地の中心商店街は駅から約1kmほど東に離れた場所にあります。「大東」という地名の由来は、現在の木次線で一駅宍道寄りの幡屋駅北側にある郡家を中心に、古来西を大西、東を大東と称した事によると言われ、大東の地名が定着していくのは室町期以降で、その後近年には大原郡の東に位置する町という意味も含められました。
江戸時代には大東町本町の名の他、六日市や三日市の名も見られ早くから市場を中心として町場が発展しており、制札場の他に目安箱も設置されていました。大東町は湯町街道、大原街道、仁多街道及び、その他の諸往還が交差する交通の要衝で、年二回開催される牛馬市の他、六斎市、季節市、木綿市などが立つ出雲有数の大市場町として頻繁の道を歩んだと記録されています。
やがて牛馬一は幕末頃には衰退しますが、その他の市は大正中期まで続いており、東西約1,5kmにも及ぶ旧市街の家並みからも町の繁栄の歴史を伺い知ることができます。しかし戦後まで続いた賑わいは、町の伝統的な佇まいの商家や町家などの建物の姿を変えてしまい、また近年は駅前地域の再開発と郊外型店舗の進出により、旧商店街の活気は失われていました。
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