一路一会古い町並みと集落・山陰>鳥取>多里

多里

たり

日野川の源流に位置する日野往来最南端の宿場町

鳥取県日野郡日南町多里

 


日野郡の南端に位置することからその名が付いた日南町。町の玄関口は伯備線の生山駅で、そこから日野川に沿って遡ること約15km。中国山地からの幾多もの支流を集めて、日野川となる源流の地にある小さな町が多里です。



冬季には100日間も雪に閉ざされる事のある最奥の町、多里はまさに国境の町で、東に岡山県、南に広島県、西に島根県と接し、それぞれの地域を結ぶ街道が、町の中心で十字に交差しています。ゆえに古くから宿場町として発展すると共に、山奉行が置かれ、藩有山の管理、山役の取立て、地域の警察事務に加え、番所役人を兼務して国境警備にもあたっていました。



7月12日と12月24日の年2回の定期市も開かれ、4月と8月の年2回の牛市も立つ在郷町としても賑わった町でしたが、日野往来の宿場町としては、当初はもう少し下流に位置する黒坂宿(日野町)が最奥の宿場町でした。しかし国境に位置する交通の要衝である事に加え、日野鉱山からの鉱物輸送及び管理の為に、元禄年間あたりから宿場町、そして最奥の行政機関が置かれる町として整備されていったのです。



多里は県下最奥の集落でもありますが、日南町の中心部である生山に次いで開けた町でもあります。わずか500mほどの往時の面影を残す旧道に沿った町の東側を国道がバイパスしていて、商業施設などは国道沿いに移り、かつて宿場町・在郷町として栄えた多里宿は、ゆっくりとした時間と空気が流れています。特に重厚な商家や文化財的な価値のある建物はありませんが、街道の歴史と歩んだのどかな家並みが残る町でした。






多里の町を見下ろす常福寺境内の愛宕神社


酒蔵情報

この集落周辺に酒蔵はありません