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広島市の北部を占める安佐北区。その中心市街である可部には数社の酒蔵をはじめ伝統的な町並みが奇跡的にも残されている事に驚きます。
現在JR可部線の終点駅でもある可部ですが、かつては加計町を経て三段峡まで路線が延びていました。しかし、2003年赤字路線として廃止に。
古くから可部は南村市と呼ばれた市場町で、戦国期には高松城の城下町として整備され可部市が開かれていた記録があります。可部は雲石往還(可部街道)と太田川舟運の水陸交通の要衝として栄えました。町の北側口では雲石往還と石見浜田往還が分かれる追分けがあります。
江戸時代も広島城下をはじめとする山陽と山陰を結ぶ物資の一大集散地となり、数多くの豪商が軒を連ねていきました。
今もなお伝統的な商家建築が軒を連ねる旧道には「折目」と呼ばれる枡型も残り、往時の面影を色濃く残す貴重な景観地区であるのですが、本来この家並みが残る旧道をバイパスするはずの国道が慢性的な渋滞を引き起こしているため、この旧道が”ぬけ道”としてかなりの交通量があり、排気ガスや震動による町家への悪影響だけではなく、観光名所にすらなりえない厳しい現状にさらされています。
しかし、この奇跡的に残された町並みを後生に残していこうという住民の地道な取り組みが随所に垣間見られる点には安堵を覚えると共に、交通規制を含めた行政のより一層踏み込んだ今後の対応が望まれます。
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