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  矢名瀬
やなせ
 酒蔵を営む2軒の旧家と在郷町の町並み
 兵庫県朝来郡山東町矢名瀬町 【朝来市山東町矢名瀬町】

 構成:旧家屋敷・商家土蔵・旅籠建築 ■ 駐車場:なし
 
矢名瀬
 
和田山町の東に位置する山東町矢名瀬は。古くは弓矢貢献の地として「矢名師の里」に由来する町で、旧山陰道の表街道と裏街道(丹波路・但馬路)の合流点に形成された交通の要衝として栄えた宿場町でした。江戸初期から盆と年末に市が立ち、やがて酒造・製糸・絹織物業などの固定店舗が建ち並ぶ在郷町として発展していきます。また町には豊岡藩主の参勤交代の為の休憩本陣も設けられていました。
江戸中期ごろから階層分化の進行がはじまり、特に田治米家や藤井家による土地集積が進み、大規模な豪農や大商人が生まれました。
最盛期の矢名瀬には6軒の酒造家があったと言われますが、現在もそのうち2軒が営業をしています。

栗鹿川の東側に残されたかつての中心地・矢名瀬町には大きく2つの町並みが残されています。一つは商店街の中に在郷町の面影を残した町並みと、大規模な豪商の屋敷や商家が残る町並みです。この中で最も大きな屋敷構えの旧家が矢名瀬に残る酒蔵の一つです。此の友酒造と田治米合名会社の酒はほとんどが地元で消費されているそうですが、近年海外のコンテストでも受賞しており、今回訪れた時には事前の下調べを行っていなかった為に、その酒にふれること無く町を後にしたことが悔やまれます。
町の中心と国道は栗鹿川を挟んだ対岸に移った為に、旧街道沿いの町並みには人影がほとんどありません。今なお重厚な佇まいを残す旧家の酒蔵に対して、在郷町の面影を残す旧商店街の方は老朽化が顕著に見られ、町並みの行く末はあまり明るくは無いように感じられました。

 
 
 
 
矢名瀬の酒蔵          
清酒 「此の友」 此の友酒造 朝来郡山東町矢名瀬町508 0796-76-3035
清酒 「竹泉」 田治米 朝来郡山東町矢名瀬545 0796-76-2033