伊予灘に面した長い海岸線の真ん中に双海の町はあります。
町の中心部である上灘地区は藩政時代には上灘村と呼ばれ、昭和の時代に入って上灘町と下灘村が合併して双海町となりました。その為JR予讃線の駅は上灘駅です。ちなみに下灘駅は
ホームから伊予灘が広がる風景で知られ、鉄道ファンのメッカならず数々の雑誌や書籍で紹介される有名駅です。
このあたりの海岸線は地図からも分かるとおり、直線状の断層海岸の為に漁港を作ることができず、古くから漁業は地引や船引のイワシ網漁が行われていました。平地も少なく漁港も発達しない双海では、生蝋の生産に活路を見いだします。生蝋を加工したものを「さらし蝋」といい、上灘のものは「灘ろう」の名で有名になり販路を広げました。当時の上灘の町には10軒近い蝋問屋が軒を並べていたそうです。
近年まで双海は蝋問屋の白壁の街並みで有名でしたが、現在は県道広田双海線との交差点に建つ奥島酒造の酒蔵以外に目にすることができません。町屋や商家は数が少なく、広範囲に点在しており連続性はありません。国道が町をバイパスしている為に旧道沿いは非常にひっそりとしています。
(2009.8)
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