旧伊予郡中山町は伊予市の南約15kmの場所にある山間の町で、JR予讃線が伊予長浜方面の旧線(海線)と内子方面の新線(山線)に分かれる向井原駅から内子方面に2駅目の場所にあります。国道56号の犬寄峠を越えた先、中山川の河岸段丘上に開けた町で、この道は江戸時代中期に完成した大洲と松山を結ぶ大洲街道の一つ、中山筋と呼ばれていました。
中山は大洲と松山の丁度中間に位置し、大洲街道の荷継場であると共に宿駅的役割も担っていたようです。江戸時代には近郷農民の日用品調達の為に、御免地として町立てがゆるされ在郷町へと発展し中町、下町、新町の町名が記されています。しかし取扱品には制限が加えられ、在郷には不似合いなぜいたく品の販売は禁じられていました。
旧道沿いに残る商店街には複数の金融機関の支店もあり、在郷町として栄えていた往時を思い浮かべます。町の中心に中庭と松、御成門を有した旧家がある他は、特に大きな商家は見られませんが、伊予地方独特の装飾が施された古い建物が多く残る町でした。
なぜか町並みから一歩裏手にある銭湯
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