国の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定されている愛媛県有数の古い町並みが残る町、宇和町卯之町。周囲を山々に囲まれている小さな盆地の町ですが、海にも近く陸の孤島というほどではありません。しかし実は宇和郡で最も標高の高い場所にある町でもあります。
江戸時代にはこの一帯は宇和3万石と呼ばれ、古くから南予の穀倉地帯であるとともに宇和郡の中心地でありました。卯之町は宇和島街道をはじめとする諸街道の交差する宿場町・在郷町として発展し、また四国霊場第43番札所の明石(めいせき)寺の門前町として栄えた町でした。
さらに 幕末には文明開化のさきがけとして、西日本最古の学校といわれる開明学校が開かれた町でもあります。
その卯之町を国道が大きく迂回し、さらに商店街も南に平行する旧国道に形成された為に中町(なかんちょう)通り沿いは往時の偲ばせる佇まいが残ることになりました。
町並みの両側には戦国期の城下町の名残である桝形が残されています。桝形の近くに醤油蔵があり香ばしい醤油の香りが漂っていました。また中町通りの西側付近には元見屋酒店と最進酒造の2軒の酒蔵があります。
(2007.8)
中町通りの入口に建つ「開明」元見屋酒造店
重伝建地区の入口に建つ「玉川」の最進酒造・池田屋
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