瀬戸内海に浮かぶ周囲16.4キロの塩飽本島。その北東端にある小さな漁村集落が国の重要伝統的建造物群に指定されている「笠島」地区です。
正式には城根、山根、新在家、屋釜の4集落の総称ですが、狭義一般には城根集落をさして「笠島」と呼ばれています。
白根集落を見下ろす東山に中世塩飽水軍の城が築かれ、その城下町ゆえ「城根」の名が付いたとされています。集落の中央にはマッチョ通り(町屋通りが訛った)と東小路が交差し、塗籠造りに本瓦、海鼠壁の町屋形式の建物が軒を連ねます。
フェリー港である泊と笠島の中間に入母屋造り長屋門の塩飽勤番所があります。
笠島は天領となった後も自治が認められ、「人名」と呼ばれた4人の年寄衆によって島の政治が行われていました。現在もその子孫が人名会として権益の一部を継承しています。集落内には現代住宅はほとんど皆無であり、景観整備は行われていますが、観光地化もしておらず、私自身の数少ない心の故郷一つです。
ただし、訪れた時間帯にもよるところがあると思いますが、人影を殆ど見ることがありませんでした。山に近いエリアの集落には生活の匂いがありますが、高度に町並みが整備されている中央付近の建物は、無住のものが多いのかも知れず、過疎化の進行とともに、集落の将来に若干の不安を感じました。
(2006.8)
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