室戸市街から国道55号を高知市方面へ走ると、隣町の奈半利町を通ります。
国道が通過する町域は、わずか4kmほどで意識しなければ気づかずに通過してしまうほどの小さな町ですが、中世には桑名氏の城下町として発展し、江戸時代には土佐浜街道の宿場町として賑わいました。
土佐藩の上方・江戸方面の玄関口は現在の東洋町甲浦(かんのうら)で、そこから国道493号である野根山街道を通って山越えし、この奈半利で土佐浜街道に合流しました。野根山街道の起点でもあった奈半利は藩主の参勤交代の他にも幕府の巡見使をはじめ公式の通行者は絶えず利用し、その繁忙は幕末の争乱期にピークに達します。
現在はその役割を失いかつての賑わいはありませんが、国道沿いに白壁土蔵を利用した店舗が目印となり、その交差点から旧道にそった商店街である横町へ入ると、わずかですが古い街並みが残っていますした。
(2006.8)
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