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幸袋
こう
ぶくろ

 石炭の産出と積出港として栄えた長崎街道沿いの町
 福岡県飯塚市幸袋本町

 構成:切妻土蔵造り町家建築・伊藤伝右衛門旧宅 ■ 駐車場:なし
 
 

飯塚市中心部の北側に伝統的な町並みが残る幸袋(こうぶくろ)という地区があります。幸袋は初め長崎街道沿いに発達した街村でしたが、やがて遠賀川の河港として発展します。明治に入るとこの一帯からは石炭が産出し、中小零細の炭坑が林立しますが後に大手資本や財閥に再編整理されていきます。
こうした中で後に炭坑王と呼ばれた麻生太吉や伊藤伝右衛門、安川敬一郎などを輩出していきます。
幸袋本町に残る伝統的な町並みの中核を占めるのが、重厚な黒漆喰で見る物を威圧するような荘厳な邸宅である伊藤伝右衛門旧宅。
この地区の入口からは九州に多く見られる妻側に庇屋根の付いた妻入りの町家が軒を連ねています。建物の多くは幸袋が大きく発展した明治以降に建てられたものと思われ、西洋建築の様式や赤煉瓦を取り入れた建築物に、石炭全盛時代の遺構を見ることができます。
訪れた時は住民による伊藤伝右衛門旧宅の文化財指定へ向けた運動が行われていました。開発が進む飯塚市中心市街にあって奇跡的に残された幸袋の町並み保存につながることを期待します。