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  小野市
おのいち
 豊後・日向国境の町
 大分県南海部郡宇目町大字小野市 【大分県佐伯市宇目小野市】2005年合併

 構成:商家・土蔵 ■ 駐車場:なし
 
小野市の酒蔵・小掠酒造

宇目町は宮崎県北川町と接する大分県最南端の町。町の玄関口とも言えるJR日豊本線の重岡駅は町の東端の辺鄙な場所にあり、駅周辺には市街地は形成されていません。
昭和の大合併のしがらみによるものか、町役場は宇目町の中央部、千束地区に置かれています。そこから西へ、町を縦貫する国道326号線沿いに小野市という集落があります。小野市は宇目町内で最大規模の集落であり、実質宇目町の中心市街です。
地名に「市:いち」が付くように、小野市は古くは市場町で、江戸時代には日向街道の宿場町で、この時期の宇目町にはもうひとつ宮崎寄りに宇目宿もありました。
さらに遡り、律令時代の古代官道・日向道の小野駅が現在の小野市のあたりに置かれていたといいます。小野駅には一般駅の倍の10匹の駅馬が定められていました。
三重駅から小野駅を経て宮崎県の長井駅に通じる日向越え、豊後・日向国境の要衝であり、戦国期にも防衛上も重要視され豊後の守護家大友氏によって宇目村政所が置かれていました。
町域の南北を山によって隔てられた、僻地の中心市街として賑わったであろう事は、現在の小野市に1軒残る明治27年創業の小掠酒造の存在からも伺い知る事ができま
す。

さて、この小野市から西へ約10km。北川の支流中岳川の上流の谷間に木浦鉱山という鉱山集落があります。木浦鉱山は江戸時代に岡藩の鉱山町として栄え、鉛や銅・銀などを産出しました。集落には長門町・竹田町・上町・金具町・梅木町などが形成され、芝居小屋、遊郭も置かれるほどの規模だったと言われています。岡藩の隠し鉱山として栄えた木浦は、情報漏洩を警戒し、このような隔離された都市を建設したのです。しかし、鉱山は枯れ始め明治に三菱の資本が入るものの現在は事実上閉山し、希少鉱物である少量のエメリー鉱の採掘が行われているそうです。かつての鉱山町はその面影もなく、集落も過疎の為に廃村寸前だそうですが、ページを執筆している過程でその存在を知ったことが非常に悔やまれます。

 
 
小野市の酒蔵          
清酒 「弥生」 小掠酒造 南海部郡宇目町小野市2941 0972-54-3002