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特定名称酒と普通酒


特定名称酒の区分


分 類

名 称

精米歩合

原 材 料

吟醸酒

純米大吟醸酒

50%以下

 米・米麹

大吟醸酒

50%以下

 米・米麹
(醸造アルコール添加10%以下)

純米吟醸酒

60%以下

 米・米麹)

吟醸酒

60%以下

 米・米麹
(醸造アルコール添加10%以下)

純米酒

特別純米酒

60%以下

 米・米麹

純米酒

70%以下

 米・米麹

本醸造酒

特別本醸造酒

60%以下

 米・米麹
(醸造アルコール添加10%以下)

本醸造酒

70%以下

 米・米麹
(醸造アルコール添加10%以下)


吟醸酒(吟醸系)

酒米の半分近くを削ぎ落とし、酒のもつ雑味を最大限排除したうえに低温長期発酵と熟成により「吟醸香」と呼
ばれる独特のフルーティーな香りと味わいをもつ酒。 リンゴやバナナ、マスカットにナッツのようなさまざまな
香りが作り出される。これらの香りを引き出す為に少量の醸造アルコールが添加されます。精米歩合とアルコー
ル添加の有無に応じて「吟醸酒」「大吟醸酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」に分類されます。

純米酒(純米系)
純粋に米だけで造られた酒で、醸造アルコールは一切使用されない。さらに米麹の総重量が白米の総重量に対し
て15%以上必要で、米本来の芳醇な香りとコクがいちばん良く現れた酒。蔵元の個性が最も良く表れます。

本醸造酒(本醸造系)
純米酒に醸造アルコールを少量加えることによって、純米酒よりも「淡麗」もしくは「辛口」に仕上げた酒。
醸造アルコールの添加量は使用した白米の10%以下と決められています。


精米歩合の基準はすでに撤廃されていますが、現在も蔵独自の判断でかつての基準による商品展開をしている
蔵元も数多くあります 。
製造工程によって上記のような表になっていますが、純米酒が本醸造酒よりも上であるという事を表している
わけではありません。 それぞれに個性があり料理や飲み方に応じて選ぶべきものです。


醸造アルコールとは?

そもそも日本酒に添加される醸造アルコールとは、さとうきびなどを原材料とした高純度エチルアルコールの
ことで、他の原材料では米や麦、トウモロコシなどがあります。(甲類焼酎の一種)
アルコール添加というと悪いイメージがありますが、使用量は本体量の10%以下で、香りや味覚の調整の他に
貯蔵中の腐敗を防ぐことでが目的です。(清酒を腐敗させる乳酸菌の一種である火落菌の増殖を抑える働き)
古くは江戸時代の「柱焼酎」の技法にさかのぼり、古くから品質調整の為にアルコール添加は行われていました。
また近年流行している「淡麗辛口」は、醸造アルコールの添加なくしては成し得ませんでした。
「米」から精製した醸造アルコールを添加して「全米吟醸」という独自の商標で売り出している蔵元もあります。

普通酒(一般清酒)というもの

上記の基準を満たしていない清酒はすべて普通酒に位置づけられます。一般清酒とも呼ばれます。
特定名称酒で定められた醸造アルコールの添加量がわずかに越えた、限りなく本醸造酒に近い良心的な普通種は
稀で、大半はアルコール添加量が著しく多い「アル添酒」や「三増酒」が占めています。

三増酒は米不足の戦時中に開発された「三倍増醸ブレンド酒」の略で、原材料の白米1に対し醸造アルコール0.72
を加えて水増、もはや日本酒の味がしないために糖類や酸味料・米粕などの添加物で味を造った酒の事です。
戦後も高度成長期における家庭の晩酌を支え続けていましたが、近年のビールやワインを含めた低価格酒ブーム
の中において依然中核を占めています。紙パックの低価格酒の大半はこれにあたります。
総量の大部分が人工的な合成酒である為に、体への負担が大きく「悪酔い」する原因はこれにあり、日本酒への
誤解が生じている原因でもありますが、あえて悪酔いを求めこのを支持する人が多くいるのも事実。

三増酒ほどまではいかない量の醸造アルコールを添加した酒を「普通アル添酒(普通アルコール添加酒)」
と呼びます。普通アル添酒は、もろみの発酵が終わる直前に白米1トンに対し醸造アルコールを120L以上
280L以下を添加したもの。三増酒よりはちょっと高級でカップ酒や一升瓶の晩酌向けの一般酒がこれ。
居酒屋などで出される「熱燗」もこれが多い。 かも。


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