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久宝寺
きゅうほうじ
 本願寺派久宝寺御坊の寺内町
 大阪府八尾市久宝寺
商家・町家・土蔵  なし  JR大和路線・久宝寺駅
 
 
JR大和路線(関西本線)の久宝寺駅はおおさか東線の乗換駅で、大和路快速列車も停車する。かつて貨物駅の竜華操車場があり、その跡地は再開発され新しい都市が生まれました。
この久宝寺駅の北口から徒歩で5分。碁盤の目に古い町並みが残る久宝寺の町があります。

久宝寺は戦国時代に形成された久宝寺御坊の寺内町です。
寺内町は周囲を二重の堀と土居で囲み、町の入口には6ケ所の木戸門を設け、各入口を入った所はT字路として城下町のような防備に備えていました、これらは現在も至る所にその遺構を見る事ができます。

碁盤の目の街路は東西に7筋、南北に6筋。中之町通り、表町通り、馬追町通り、米屋町通り、大手町通りなどの通り名が残ります。

ちなみに現在の八尾市中心部の前身となった八尾寺内町は、江戸時代初期に起こった本願寺の東西分派に端を発して、慶長11年(1606)に久宝寺寺内町から分立したものです。

久宝寺と八尾本町の間に流れる長瀬川。宝永元年(1704)に大和川が付け替えられる以前は大和川本流の本流だった川です。久宝寺はこの川の舟運と八尾街道の水陸中継地として栄えますが、大和川の付け替えによってその座を八尾寺内町に奪われた後は、住民の減少もあって、農村部における一在郷町として歩み続けました。

碁盤の目の各筋に残る伝統的な商家建築や町家は江戸期から明治期のもので、厨子二階に白漆喰塗籠造りのほか、ゆるやかなカーブを描いた”むくり屋根”も特徴です。幹線道路からも離れ、外の世界から隔絶された町並みには、喧噪の無いひっそりとした空気の中に、町内に張り巡らされた水路の水音が心地良く聞こえる、そんな箱庭のような稀少な町です。