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八尾
やつお
 久宝寺から分離した本願寺派の寺内町
 大阪府八尾市本町・東本町2丁目
商家・町家・土蔵  なし  近鉄大阪線・近鉄八尾駅
 
国登録有形文化財の「與兵衛桃林堂」
 
大阪平野の東部に位置する中核都市・八尾市。近鉄八尾駅の南側、本町には所々に伝統的な古い町並みが残されています。この八尾本町もまた江戸時代に形成された本願寺派の寺内町として発展した町でした。

はじめ、この地域の中心は八尾本町の西側、長瀬川の対岸にある久宝寺寺内町でした。久宝寺は戦国時代末期から続く寺内町でしたが、本願寺の東西分派に端を発した内紛で、慶長11年(1606)に久宝寺御坊の安井氏と対立して町を出た森本氏等は、八尾村の荒地を開発、八尾御坊大信寺と慈願寺を中心に八尾寺内町が生まれました。

さらに宝永元年(1704)に大和川が付け替えられると、旧大和川(現在の長瀬川)舟運に依存していた久宝寺寺内町は衰退、住民や商人はこの八尾寺内町に移り住んで、町は大きく発展。さらに商品経済の発達が八尾寺内町に多くの富をもたらし、数多くの商家が軒を連ねる在郷町としての繁栄を手にするのです。

近鉄八尾駅前のアーケード商店街とその周辺には、今も古い商家や土蔵が見られますが、最も町並みが残るのが、東本町2丁目付近の旧八尾街道沿いです。
中でも目に引く建物が、八尾街道と立石街道・おおと越の辻に建つ、和菓子の「與兵衛桃林堂」の店舗です。大和棟造りで文化財級の建物は、江戸時代に河内木綿で財を成した木綿問屋の町屋を創業家が大正時代に買い取ったものを店舗としたもので、国登録有形文化財に登録されています。

訪れた時は、50年ぶりの茅葺き屋根の葺き替え工事中でした。大都市近郊でまず見る事が出来ない稀少な風景でした。
 
東本町・旧八尾街道沿いの家並み
 
 
 
 
 
近鉄八尾駅前商店街の中に残る商家