彦根藩井伊家35万石の城下町として知られる彦根。その中心には国宝の彦根城がそびえ立ち、城の南側には外堀を挟んでかつての町人町が広がっています。
本町から城町にかけては、江戸時代に建てられた伝統的な商家や町家が数多く残されていますが連続性は失われており、現在街並み再開発事業の「夢京橋キャッスルロード」を中心とした景観整備が進行中です。
その南東部に位置する芹川に沿った商店街に、連続した古い街並みが残されていました。この河原町・芹町辺りは江戸期には芹新町・芹川町・安清町と呼ばれ中山道から彦根城下に入る唯一の玄関口でした。
現在「上えびす商店街」となっているこの道筋は近年「はなしょうぶ通り」と名付けられ、滋賀県一といわれる歓楽街になっています。この「はなしょうぶ通り」の西側は明治頃から遊郭街となった地区で、旧称の「袋町」が今も使われているように、細い路地や袋小路が入り組んでいます。
江戸時代には米屋10軒、大工 7軒、煙草屋・塩屋各5軒、油屋・小間物屋紐屋各3軒、麻屋・割木屋・木屋・炭屋・木挽各2軒など23種の職種の人々が住んだ職人と商人の町でした。
京の街並みを思わせる袖卯建を上げた厨子二階の商家や町家が軒を連ねる河原町の商店街を抜けると、街路灯や看板の無い落ち着いた佇まいの街並みが続く芹町に入ります。商店街の外側に位置する為人通りも活気も少ないですが、河原町と比べると商家の規模も比較的大きく、重厚な街並みが残されていました。
芹川に架かる芹橋を渡った対岸には、仏壇の町で知られる旧称七曲りがあります。このあたりにも伝統的な街並みが残されています。いずれも中心部から少し離れてはいますが、もうしこし注目されてもよい地域ではないかと思います。
|