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今井町・東町

いまいちょう ひがしまち

江戸時代の町域を残す中世一向宗の寺内町に始まる大和最大の商業都市

奈良県橿原市今井町

 

東町の東端部にある南町の飛び地界隈。



今井町の経済力は大名や旗本など多くの武家を支え続けました。しかし、明治維新を迎え大名や武家制度が廃止されると、それまで融資していた資金はすべて無効となり、その打撃は計り知れないもので栄華を誇った今井町は急速に衰退していくこととなります。

しかし町民の気質は変わらず、急激な近代化には抵抗を示し、鉄道の敷設にも反対した結果、路線は町を迂回したものの、商業都市としての姿は失われていったのです。しかしその事が今井の町を奇跡的な姿のままで残す事になりました。「町掟」によって江戸時代から大きな大火が起きなかったことも要因の一つですが、住民がコミュニティーの崩壊を危惧して観光地化にも否定的だったという話しも聞きました。


戦後、東京大学工学部建築学科による町屋調査を経て「町並み保存運動」が鼓動をあげることになり、「国の重要伝統的建造物保存地区」である文化財保護法第144条は、当初この今井町保存の為に立案された法律でしたが、その適用をめぐっても町を二分する議論に至った結果、昭和51年(1976)長野県の妻籠宿が最初の重伝建に指定されます。昭和53年に「今井町保存問題」に関する総合調査対策協議会が発足(のちに「今井町町並み保存会」に名称変更)再び住民間の意見交換を経て、最初の重伝建指定から17年遅れること平成5年(1993)に、今井町もようやく国の重伝建に指定される事となりました。


当初はコミュニティーを守る為によそ者が今井町へと転居してくる事すら規制していた時期もありましたが、現在住民の多くはモータリゼーションに対応できない今井町を離れ「町の外」に新居を構えると共に、残された住民の高齢化とコミュニティ継承の問題、増え続ける空き家・廃墟対策をはじめ、伝統的建築物の維持管理コストの負担、災害への対策など数多くの問題を抱えて、古い町並みと文化の活用と保存を両立させることの難しさに直面し、悩みを抱えています。


重伝建地区への登録が行われた事により建築活動全般に制限が加えられ、建物外観への規制(ファサードコントロール)や電線の地中化などは進行中ですが、根本的な問題はなおも残されたままです。これからこの今井町がどのような道を歩んでいくのか、どのように変わっていくのか行く末を見守っていきたいと思います。



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本町通りの町並み







今井町の東西の通りには名前がつけられていて、北から北本尊通り、大工町筋、本町筋、御堂筋、中尊坊通り、南尊坊通りとなっています。南から2本目の御堂筋の東端部。ここから西へと筋は伸びていきます。

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酒蔵情報

清酒

「出世男」

河合酒造

奈良県橿原市今井町1-7-8

07442-2-2154