出雲大社の玄関口である出雲市は、2005年に平田市・簸川郡大社町・湖陵町・多伎町・佐田町の2市4町を合併して島根半島の西半分を締める、人口約14万人の島根県で松江市に次ぐ2番目に大きな市となりました。東京や京阪神を結ぶ特急の始発駅でもあるJR出雲市駅の旧称は「出雲今市駅」。出雲市は古来より簸川平野の中心都市として栄えた今市町を中心として発展した町です。出雲市の中心市街にその名を残す今市は中世の室町期ごろからすでに商業の町として記録に残されています。
もともとこの地域の中心都市は、出雲源氏の流れを組む守護一族塩冶氏・古志氏の城下町であった塩冶町・古志町(出雲市駅南側)にありましたが、後に新しい「市」である今市町や大津町が発展してその地位を奪っていきます。「今市」の名は新市の意味と同義語と思われます。駅前中心街から少し離れている為に、落ちついた雰囲気で高瀬川沿いに町並みが佇んでいます。この高瀬川は物流の為に建設された運河で、この高瀬川を築いた大梶七兵衛の像が中央通りの三京橋に立っていいます。今市町は江戸時代に町分として認められ、明治には簸川郡役所が置かれるなど、現在の出雲市の礎が築かれていました。
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