山口県の南東端、柳井市の沖合に浮かぶ周防大島は渦潮で有名な大畠瀬戸を挟んで本州に対峙する島で、山口県では最も大きく、また瀬戸内海では淡路島、小豆島に次いで3番目に大きな島です。周防国の大島であったことから「周防大島」と称されますが、正式には屋代島(やしろじま)といい、さらに地元では単に「大島」と呼ばれています。かつては大島郡大島町・久賀町・橘町・東和町の4町からなっていましたが、2004年に4町は合併して周防大島町となり今に至ります。
今回紹介する周防小松は周防大島の旧大島町の中心部で、島内でも数少ない平地部に開けた町です。本土に最も近い事から、古くから対岸の大畠と渡船で結ぶ、大島の玄関口として発展していました。昭和51年に大島大橋が開通して周防大嶋は本土と地続きになりますが、それでもなお島の玄関口である事には変わりません。
周防大島でも有数の在郷町として発展し、江戸時には毎月2度の市が立ちました。しかしその後対岸の柳井や大畠の市に押されて、年に三回のみの市立てとなりますが、それにかわって製塩業で小松は大きく発展します。塩田開発は「開作」と呼ばれ、現在も開作の地名が残ります。この製塩業は北前船も呼び寄せ、小松の塩は北陸地方へと販路を拡大していきます。
小松の町並みは屋代川河口の入江に沿って弓状に街村を形成。かつての塩田だったところは埋め立てられて学校や養魚場に姿を変えていました。残されている建物はそれほど歴史的な価値があるほど古いものではありませんが、製塩業で財をなした旧家でしょうか?大きな家が目立ちました。
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