日和佐はウミガメの産卵地と八十八カ所第23番札所薬王寺で知られる港町。
対岸の高台に建つ日和佐城が町を見下ろしています。この日和佐に城が築かれたのは中世ごろと言われますがその遺構はほとんど残されていません。残念ながら現在の日和佐城はその基礎である石垣からすべて架空のもので、町の公共施設として建てられたものです。
日和佐は古くからの漁村でしたが、江戸時代の文化4年(1807)に海部郡の郡代役所が海部の鞆浦から当地に移され、明治まで海部郡の政治・経済・文化の中心となりました。
国道に接し観光客や人通りの多い門前町には、伝統的な建物は僅かに点在する程度で商店街化への更新が進んでいます。一方、古い街並みや寺町など伝統的な風景は港町である日和佐浦に多く残されていました。
日和佐浦は短冊状に町割りされ、比較的連続した街並みが見られます。路地や小路は「あみだくじ」の様に微妙にずれて連なり、奥入った所に古い民家や商家を発見するなど、宝探しの迷路のようです。厄除橋を渡った通り沿いにも切妻平入りの町家が軒を連らねています。
ちなみに、ウミガメの産卵場所として知られる大浜海岸はこの日和佐浦の東岸にあります。
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