江津市都野津町から水尻川に沿って山間部へ南下すると、跡市という名の街村に突き当たります。道を右に進むと島根県西部で著名な温泉地、有福温泉に通じます。ちょっと意識をしないと、気がつかずに通り過ぎてしまうような小さな街村です。
この跡市は加志岐川とその支流がきざんだ谷底平野に形成され、古くは阿刀(あと)と呼ばれていました。その後、市が立つようになった事から阿刀市と呼ばれ、さらにそれが転訛して跡市となったと思われます。
市場町として生活物資の集散地であった跡市村は那賀郡・邑智郡における跡市組36か村を統括する浜田藩の代官所が置かれ、政治経済の中心地でもありました。その為、早くから町場を形成し、現在でも有福温泉に至るこの街道沿いにその名残をとどめた家並みが残るのです。
有福温泉に至る街道沿いに連なる家並み
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