岡山市と倉敷市の中間に位置する、県下有数の古い町並みを残す木下家2万5000石の陣屋町・足守。その北側に古い商家の家並みを残す集落が隣接します。
現在の国道429号線に踏襲し、加茂川町から主要地方道に反れ、落合町の宿場町鹿田を経て在郷町落合に通じる「足守道」。
大井はその足守道沿いに発展した市場町でした。古くからの農村集落から商業の町に発展したのは明治に入ってからで、5と10の日に開かれた六斎市は本市と呼ばれて賑わったものの、やがて大正期に最盛を迎え以後衰退していきました。
大井集落は単なる街村とは思えない海鼠壁に平入厨子二階の重厚な家並みに、市場町の面影を見ると共に、町並みの一画に建つ一軒の酒蔵からも往時の繁栄ぶりが想像されます。この小さな酒蔵・板野酒造本店は現在岡山にある板野酒造場から明治3年に分家して創業した蔵で、ちょうど大井が市場町として発展した時期と重なります。
この酒蔵の酒銘である「二面(ふたも)」は、現在の大井地区が足守郷と大井郷から分村して成立した二面村に由来します。
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