前回の旅では不覚にも乗りそびれた東海道本線のグリーン車を今回こそは利用する予定であったが、なんと始発にはグリーン車の設定が無いのである。一本遅らせば熱海どまりがあったが、これだと飯田線の接続には間に合わない。しかし、始発の列車はグリーン席は無いものの、なんと静岡まで直通運転なのだ。豊橋まで3回の乗り継ぎが2回で済むのは精神的にも肉体的にもだいぶ違う。
ところが、早朝の東京駅の東海道線ホームで目にしたのは、なんとJR東海373系特急列車だったのだ。これって
「ムーンライトながら」?と思ったが、まさに正解。昨晩大垣を出発して今朝東京に着いたムーンライトながらの間合い運転だったのだ。グリーン車料金が不要で特急シートで快適な出発が約束される。ホームの放送では、とまどう乗客のために「普通乗車券で乗れますよ」というアナウンスが流れていた。この列車は静岡に着いた後は、分割され、飯田線の特急「伊那路」や身延線の特急「ふじがわ」、さらに都市間の「ホームライナー」など、フルに間合い利用されるのだ。その為3両という短編成で設計され、グリーン車も設けられていない。
3時に起き、4:33の始発列車に乗り、途中で地下鉄に乗り換え、東京駅に着くのは発車4分前の5:16。
猛ダッシュで、運動不足を痛感。なんとか間に合った。3両編成が3連結された9両編成で、ほぼ満席だったが、ホーム端の先頭車両は辛うじて空席があった。無事窓際をゲット、これで静岡までの長旅も一安心だ。
5:20東京駅を出発。品川や川崎、横浜などはもうホームが人で溢れている。そしてこの列車にもかなり乗り込んで来た。車内はラッシュ時なみの混雑。早朝の始発で恐るべき首都圏であるが、大半は午前様の帰宅組か?酔っぱらいは床に座り込む始末。
横浜を過ぎると徐々に乗客が降りていった。平塚をすぎるころには、ほとんど立ち客はいなくなった。小田原では6:45、沼津では7:36と朝の通勤通学の時間帯になってきたので、今度は静岡圏の乗客が乗り込んできた。特急車両とはいっても各駅停車である。
席取りする際、海側か山側か迷ったあげく、富士山の見える山側を選んだものの、あいにくの雨模様で、富士山は霧の中にその姿を消していた。結果的に根府川から真鶴にかけての太平洋の風景の方がよかったのである。途中何度か眠りに落ちたものの、車窓の景色全てが新鮮であったために、興奮で大半は起きていた。というか、眠れなかったのだ。8:43静岡駅に到着した。
続いて、東海道線8:49(743M)4両編成の211系に乗換え浜松に10:04着。2分の接続で、10:06発の(933M)311系4両編成に乗り込む。不安をよそに豊橋には定刻通り10:41に到着。これに接続する飯田線は2分後の10:43発(519M)で、さすがに1、2分の遅れが生じても待っていてくれる様子だった。
しかし、車内は立ち客がいるほどの混雑ぶり満員御礼状態。ボックス席はすべて埋まっていた。
真っ暗な時間帯に出発したものの、時計の針は10時を廻っている。人々が活発に動き出す時間だ。せめて運転席後ろの窓を占拠すべくダッシュ、写真を撮っている暇などないのである。大あわてで駆け込んで辛うじて最前列の3人掛けロングシートに座ることが出来た。意外にこの席の方が機動性は良い。まあ、5時間以上はつらいかもしれないが。
誤算は、最前部が荷物室となっていた事だ。これでは、「渡らない橋」を正面から見ることが出来ないでは無いか。旅客車両の一部を荷物室とするのは、交通の不便な秘境区間だけではない、首都圏の通勤列車・近郊区間でもキヨスクの新聞配達などを請け負って、一部車両が荷物室と化している事もある。が、見る感じ、駅の車内便のようである。
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