酒田発新潟行きイベント快速「きらきらうえつ」は16:34に鶴岡駅を発車した。
「きらきらうえつ」といえば、「銘酒呑みくらべセット」が知られている。7種の銘酒の中から好きな物を3種類選び、ショットで提供されるもので1,000円くらいだったか。しかしなんと、今は販売されていなかった。
目的の一つが挫かれ不服だったが、先ほど購入した地酒の栓を開けた。しかし、この列車はつまみ系の酒類も少ない。弁当に至っては、酒田で完売したとか。おいおい、まだ一駅目だぞ。
あまりにド派手なカラーリングの「きらきらうえつ」は、もちろん新造列車では無く485系700番台の特急列車を改造した3両編成のハイデッカー車で、天井はややせまっているが、グリーン車並みのシートシートに座ると、腰の位置にまで窓があり、視野はすこぶる広い。
まあ、これだけで今までの所業がすべてチャラになる感じだ。
全席指定席で、日本海側がA席。仮にA席が取れなくても、先頭車にはパイプベンチに中間車のラウンジなど、早い物順ではあるが、チャンスはある。
この列車は基本的に土日休日に、新潟〜酒田を1往復する形態で運行され、
下りは早朝で上りは夕方。また、
5〜10月には象潟まで延長運転される事もある。
鶴岡を出てから、勢いよく地酒を飲み過ぎたせいで、景勝・笹川流れあたりでは酔いつぶれてしまっていた。それでも、うとうと薄目から見える、薄暗い中に灯る家々や駅の灯りと青色の風景に、長い二日間の終わりを感じながらも、いまだ東京から300キロ以上離れた地にいる現状に、もしかしたら、まだ旅が続くかのような幻想をいだいているのも、酔いによるものだけではない気がする。
「きらきらうえつは」18:28に新潟駅に到着した。ここから東京へもどるには18:35発の「とき346号」が最短で接続しているが、200系新幹線は昨年の只見線の旅の時に乗っており、前々から2階建新幹線に乗りたい願望があったので、今回は1本遅らせ、19:18発のMAXとき348号を待つ事にした。昨日と同じく、駅のショッピングモールで夕食とビールを購入して新幹線ホームへ。
入線してきたのは、最新のE4系では無く初期型のE1系だった。まあ、E4系は次ぎの機会に乗れば良いのでそれにしても、2階建て新幹線は宇宙船の様に迫力がある。車体から響く騒音も大きい。
ドアが開き子供のようにはしゃぎながら二階へ駆け上る。うおお、3:3の6列席。まあ、車体の立ち上がりも垂直に近いし、普通の新幹線よりもワイドがあるのだろう、と後から考えればありえない事を疑問も持たずに、窓側の席を確保した。で、席に着いてあることに気が付く。リクライニングレバーが無い・・・。よく見ると、シートはベンチの様に繋がっている。アームレストはセパレーターでしかない。こ、これは・・・。
なるほど、Maxは着座率を上げることを最大限の目標に開発された車両で、見はらしが良く開放感のある2階席
の自由席はこの仕様なのだ。乗車定員MAXとは(本当の意味はMulti Amenity eXpress)、JR東日本の利益主義を批判する声もありそうだが、観光バスの補助席のごとく、立つよりは座れた方が数十倍良い。
ちなみに1階席は5列でリクライニングする。通勤・通学客がメインユーザな為に速度よりも輸送力に重みを置いた設計の為に動力性能は200系新幹線と同等らしい。
今回の乗車で車両端部にある通常高(平屋部というらしい)の存在を知る。この平屋部分は2:3のリクライニング席が3列あり(連結器側は1席少ない)個室感覚で、一部ユーザーには人気があるらしい。たしかに、自由席を求め、1階の閉塞感と騒音にまみれるよりは、この車端部の平屋席がベストだろう。
いずれにしろ今回は2階の窓際席で、東京までの一時を我慢する事にする。いろいろ不満はあるが、それでも、車窓からの眺めは、夜にもかかわらずそれなりに良かったのは幸である。Maxときは先にでた各駅停車のときに比べ停車駅が少ない為に、ときとは数分しか違わない、21:20に上野駅に着いた。ここから自宅まではさらに2回乗換が必要である為、終点の東京までは乗らずに、利便性の良いこの上野駅で降車した。
それにしても濃い、濃すぎる週末だった。明日は普通に出勤するが、会社の同僚はこの土日の行動距離を想像だにしないであろう。
ちなみに今回の乗車区間の料金を単純計算すると、実に5万円近くになるようだ。十二分に元は取れたと共に、何ともパワフルでコストパフォーマンスの高い「土日キップ」を再確認した。 |