路一会鉄道の旅・鉄路一会>土日キップで廻る甲信越と羽前
   土日キップで廻る   
  甲信越と羽前の旅  
 

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 完全にはまってしまった。
 私の中の「鉄分」が目覚めた。

 子供の頃から電車は好きだった。というより乗り物全般が好きだったのだが、鉄道に限って言えば、幼少期から再発するまでに少しブランクがある。再発のきっかけとなったのが、国鉄が分割民営化してからはや数年。JRが軌道に乗り始めた頃、ちょうど高校卒業のあたりから、JRによる開発・製造され始めた新型車両たちによるものである。しかし社会人になってから、仕事柄電車に乗る機会が無くなり、やがて興味の対象がバイクや車など身近なものへと移り初め、さらに収入が安定して、それら「自由の翼」を手に入れる事が可能になりはじめたころから、ほぼ完全に私の中から「鉄道」が消え去ったようだ。

 しかしそれが昨年、人生で初めて挙行した「只見線と奥会津鉄道の旅」により、私の中の「鉄分」が目覚めたらしい。それでも、その年は仕事が例年よりも忙しく、さらに「古い町並み探訪」の消化取材に追われて、1年があっという間に経ってしまった。加えて、愛車の買い換えも重なり、それなりに悩み通した年であったが、結局4WDを捨て、スタッドレスも買いそろえなかったのは、ひとえに鉄道の旅を意図しての結論である。

 夏に、時刻表を人生で初めて購入し、その仕組み、合理性の固まりに感服した。見慣れてくると、数字の羅列が立体的な時間軸に見えてくるから不思議だ。秋の終わりには時刻表を活用して、様々な旅程を組立てシュミレーションするまでに成長した。だが、まだアマチュアである。細かな補足事項や記述にまで目が至らない、想像力が追いつかなかった。それが今回の旅で大きな失敗を生むことになる。

 さて、実際財布の中身と相談しながら旅行計画を組み立てていると、「とくとくキップ」と総称されるさまざまな企画キップの存在を知る。「青春18キップ」は会社の同僚に「乗る鉄」がいたため、以前からその存在は知っていたが、もっとパワフルなキップがあった。特にJR東日本はその数の多さに他のJR各社と大きな差を広げる。というよりも、もう少し他のJR各社にも頑張ってもらいたいものだ。
 で、今回の旅のアイテムに選んだのがJR東日本の「土日キップ」である。東北の宮城・山形より南に限定されるが、JR東日本の各線と一部第3セクター路線が乗り放題で、かつ青春18キップでは夢のまた夢である特急に加えなんと新幹線までもが乗り放題である。まあ、価格は青春18キップの7倍近い1万8000円だが、新幹線や特急が乗り放題による1日あたりの行動範囲の広さは雲泥の差である。
 仮に新幹線だけに乗り続けたとして、東京ー仙台または東京ー新潟が1日4往復はできるのである。しかも、1往復で元は取れてしまう。東北新幹線の一部列車やリゾート列車などは全席指定席であるが、このキップは4回まで指定席が取れる。今回の旅程に欠かせない2つの列車、新潟ー新宿間の夜行急行「ムーンライトえちご」と酒田ー新潟間のリゾート列車「きらきらうえつ」は全席指定席であるので、早速その恩恵に与った

 今回は出発の数日前にキップを購入した。先の2つの列車の席が取れなかった場合、今回の旅程は大幅に狂うどころか、成立すらしなかったのだが、幸にしていずれも無事に購入することができた。


 
Page1■ 土日キップの旅
page2■ 新宿-小淵沢・小海線-長野
Page3■ 信越本線-村上-ムーンライトえちご
page4■ 再び-東京から山形へ
page5■ きらきらうえつ-東京へ
 

 

 

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