一路一会鉄道の旅・鉄路一会>3連休パスで廻る北海道と北奥州
   3連休パスで廻る 
  北海道と北奥州の旅
 
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 まだ、前回の旅の余韻が醒め止まぬうちに、冬の3連休が訪れた・・・。
そして、JR東日本の「三連休パス」の存在を知った。
 「土日キップ」はJR東日本管内のおよそ2/3の路線を乗り放題という十二分に強力なアイテムだったが、このキップはJR東日本全線プラス、青函トンネルを抜け北海道は函館まで足を踏み入れる事ができる。
  その差、8,000円アップの26,000円だか、3日間でこの行動エリアではこれまた格安なキップである。しかしこのキップは年間を通して発行される土日キップと違い、年6回の3連休にしか発行されない。しかも、雪の季節は1回しかない。前日まで連日ハードな仕事が続いたが、迷うことなく3連休パスを購入した。

 今回の目玉となる指定列車は、五能線を走るジョイフルトレイン「リゾートしらかみ」1日6本だけ運行される全席指定の快速列車。それ以外には特にこれといった特殊な列車は無いのだが、問題は東北新幹線の八戸行き「はやて」及び、秋田行きのミニ新幹線「こまち」は全席が指定席なのである 。
 三連休パスは三日間有効だが、指定席は四回まで。往復二回の上記新幹線と「リゾートしらかみ」で3つの指定席が使われ、かる事前予約が必要である。

 五能線の「リゾートしらかみ」は日中の秋田ー弘前間の一往復の他に、東京発始発の秋田新幹線「こまち」に接続する朝の一本と秋田発最終の同じく「こまち」に接続する夕方の一本しかない。
  今回は仕事が忙しく、三連休の取得が不確定であった為に、直前までキップを購入する事ができなかった。そして、出発の三日前にみどりの窓口でキップの購入と指定席の確保の踏み切ったのだが、すでに遅く。秋田行き新幹線こまち71号及び、それに接続する「リゾートしらかみ3号」は満席だった。
 前日に綿密に組み上げたスケジュールは大きく崩壊し、再設計を余儀なくされる。「リゾートしらかみ」を間日にもってくる事は出来ないので、最終日の設定で組み直す。さすがに最終日は「リゾートしらかみ」も「こまち」にも席に余裕があった。その為、「リゾートしらかみ」においては無事に日本海側の窓席を確保する事ができた。
とりあえず、安堵感で満足し、スケジュールの再設計が終わったのは出発の前日である。



<出発初日>

 6:00東京駅発「はやて71号」E2系は「こまち71号」E3系の連結編成。当初に乗る予定であった「こまち」の方が満席で乗れず、終点の八戸にいく「はやて」に乗り込む事になった。なんとか窓際席を確保できたのは運がよかったのかも知れない。車内は次の停車駅の大宮で、ほぼ満席になったが、この中で終点の八戸までの乗客はどのくらいいるのであろうか?実際、福島と仙台で半分近くが降りたが、乗車してくる人数も多かったので、満席に近い状態で新幹線は”みちのく”を目指した。

 盛岡駅での分割の際には、全自動で行われる為に、わずかな時間しかないのだが、結構な人だかりであった。こまちが切り離され、走り去っていくと、発車ブザーが鳴り響き大あわてで最寄りの車両に乗り込む。
 東北新幹線の盛岡以降は、近年、いうなれば中興期に建設された為に、山陽新幹線のそれと同様に長大トンネルが多い。高速化の為に直線を求めた為であるが、ほとんど地下鉄新幹線といっても過言でないほど、太陽下に顔を出さない。唯一の地上部も半地下の構造で車窓の景色はコンクリートだけ。自分が今どの場所を走っているかもわからない。
  まあ、それは初めて訪れるローカル線でも同様な為に、今回は旅のアイテムとしてハンディーGPSを持参した。と言うよりも、前回の旅でその必要性を十分に認識し、奮発して購入に踏み切ったシロモノである。
ガーミン eTrex Legend 」 もともとが登山用の機器で、自転車ユーザーにも人気があるが、カーナビのそれとは表示がだいぶ劣る。しかしこの手のハンディGPSの中では衛星受信の位置制度がずば抜けて良いらしい。最も、衛星電波を受信できないトンネルが多い新幹線ではあまり効果は少ない。それでも、連続して使用していると位置回復の計算が早くなり、それなりの場所を示してくれる。あとは、それを地図を比較するだけだ。そうこうしているうちに新幹線は終点の八戸へと到着した。


 函館行きの「スーパー白鳥1号」の出発までは、まだ時間があるものの、とりあえず下見で在来線のホームに降りてみた。向かいのホームには、東北新幹線の八戸延伸によって第3セクターに切り離された東北本線の青森県側会社線である「青い森鉄道」の701系列車が止まっていた。貨物列車が目の前を勢いよく通過していく。
 しばらくして特急「つがる」が到着時刻を遅れて入線してきた。羽越本線の特急「いなほ」と同じ485系のリニューアル車両。ちなみに特急「つがる」には常磐線特急「フレッシュひたち」と同じ設計のE751系がある。

 スーパー白鳥の出発までまだ1時間以上あるので八戸駅周辺を散歩する。八戸へは、7年ほど前に、友人数人と車で訪れた事がある。新幹線延伸にともない近代的な駅舎に建て替えられ、駅前も再開発の為の区画整理が行われているようであったが、地元の期待は空しくその後の発展はないようである。
 閑散とした駅前通りの中でコンビニ以外に地酒を置いていそうな店を探す。しばらく歩くと「地酒」を大きく掲げた酒屋を発見。地酒にこだわり、保管にも気を使っていそうな酒屋である。店内には冷蔵陳列棚が並ぶ。入手困難らしい地酒のコーナーもある。とりあえず初日から荷物を増やしたくなかったので、飲みきりサイズの300mlの冷酒を買う。八戸種類・五戸工場(旧・菊駒)の本醸造生貯蔵酒「如空」300ml。お店の方との会話の中で自分が東京から来たことなどを話していると、端数をサービスして400円にまけてくれた。
  昼食にはまだ早いが、早朝4時に自宅を出たため、正直お腹は空いている。駅弁売り場や、改札口まえの仮設物産販売所をなんどもウロウロしながら、手ごろなつなぎを物色。今回は出来るだけ地物を食べたい。駅弁は大半が在庫無しの状態。やはり駅弁の需要が減っているようで、しかもこんな朝から買う客などいないだろう。

 八戸駅で購入したものは、いかぽっぽ(350円)というイカにカマンベールチーズが詰め込まれたもの。これはかなりの絶品珍味であった。ご飯ものとしては、定番?イカメシ弁当(680円)

 10:15発スーパー白鳥1号の入線が近づく。同じ頃、東京からの2便目の新幹線も到着した。駅の改札は人であふれ、ホームには長い行列が発生していた。いきなり座れるかが心配になる。約3時間あまりを立ち続けるのは酷で絶えられない。さらにせっかくの旅情が・・・。のんびり地酒の賞味どころか食事もできない。大あわてで指定席を取るべく緑の窓口へ駆け込むが、ここにも長い行列。列車の発車に間に合わない・・・。

 フロントが黄緑色でステンレス車体のJR北海道の新型特急列車、789系スーパー白鳥が堂々と入線してきた。遅れをとって列に並ぶが2列でかなりの長さになっていた。しかし、いざ乗車が始まると意外な収容力で、余裕に座る事ができた。しかも海側のA席を無事確保。出発直前まで乗客の列は続き、通路にも立席の満員となる。あと数分遅ければあぶなかった。

 スーパー白鳥はゆっくりと八戸駅を後にした。車窓から見える八戸近郊の景色。しかし雪がない。3連休の東京は積雪があるといわれていたのに、本州最北端の地ではなぜに晴天か。
 小川原湖のあたりから雪が深くなっていくが、昨日までに少しずつ固められながら層を重ねたような雪に覆われる大地。広がる白銀の平野は水田か。山間部を抜けると、米空軍基地と映像作家寺山修司の町・三沢駅に。この駅からは十和田観光鉄道が分岐する。




 八戸から函館までは、青森県の北端と対峙する北海道の南端を結ぶ路線ながら、大きくコの字に迂回する為に、実に三時間近くかかる。往復で六時間。一日がかりである。今日中に盛岡までもどる為には、観光などしている余裕は無い。できれば、下北半島を横断する大湊線をも乗って起きたい。あいも変わらず強行軍だ。

  やがて列車は下北半島の付け根に位置する交通の要衝、野辺地へ着く。ここから、後ほど乗ることになる下北半島縦断線の大湊線が分岐する。野辺地を出ると、いよいよ海が見えてきた。ここから暫く、野辺地湾・陸奥湾そして青森湾を望んで津軽半島へむけて海沿いを走る。併走する国道4号線も何度も通った道である。浅虫温泉を過ぎて、野内駅からはしばらく海と別れを告げ、内陸部を迂回してい青森駅へと入っていく。

 青函トンネルが出来るまでは、青函連絡船との接点駅として重要な終点駅だったが、青函トンネルの開通と海峡線の発足により、青函連絡線は廃止となり、かつて岸壁まで伸びていた線路は撤去され、今はスイッチバック駅の櫛形の頭端式ホームとなっている。したがって列車はここで進行方向を変え、北海道を目指すのである。
進行方向が変わるので、海を臨む景色とは別れ、しばらくは津軽半島の山々など内陸風景を楽しむことに。

 ちなみに、八戸を出てから、すし詰め状態だった乗客の大半は青森駅で降車した。車内は急にガラガラになる。車内放送でシートの向きを新たな進行方向に変える。
列車は津軽半島を縦断するために発車する。徐々に空が灰色になりはじめ、雪の気配。風も強くなりはじめ、厳寒の北の大地のシーンに移りつつある。いいぞ。

 しばらく海沿いを走って、蟹田駅から内陸部へと向きを変える。山間部を走り抜け、いよいよ今回のメインディッシュである青函トンネルへと突き進む。青函トンネルは相当に凄い。海底から100m、水面からは240m。海底部約23キロ、スロープの陸底部を含めると実に50キロを超す長大トンネルである。さらにその前後にも山岳トンネルが続く。しかも遠い未来を予見してか、北海道新幹線が通る事を前提に、60キロレール(一般線は30キロレール)の三線式スラブ軌道(枕木がコンクリート)で敷設されている。ATCも新幹線のそれに準拠している。

 前置きは長かったものの、実際の感想といえば、興奮はすぐに冷めてしまった。ハッキリ言って、ほとんど地下鉄を走っている感じだ。海の底かビルの地下か分かったものではない。最高時速140キロで地下を爆走する。
30分以上続くと、げんなりしてくる。窓に降りかかる水滴。トンネル内と車内の温度差、湿度差による曇りか。
猛烈なスピードが単なる日常の地下鉄とは、あきらかに違う認識はあるが。

 やがて雪に覆われた北海道の大地に顔を出し、ようやく函館に到着した。ここも先ほどの対岸の青森と同様に青函連絡船に接続するために岸壁まで線路が続いたが、現在は4面8線の頭端式(櫛形)ホームスイッチバック。ヨーロッパの始発駅みたいだ。白鳥はここで折り返すが道央行きの列車はここでまた進行方向が変わる。

 ちなみにスーパー白鳥1号は、折り返してスーパー白鳥28号に変わる。帰りも今のってきた特急列車に再び乗りこまなければならない。ゆっくり函館を散策すると、今日の予定を消化して盛岡へたどり着けないからだ。 
 よって函館の滞在時間は約0分。ホームでの列車撮影と駅舎撮影で10分経過。 
函館の町を走る路面列車。地酒を売ってそうな酒屋を探すも、見あたらない。しかたなく駅前にあるデパートの地下食品売り場で北海道の地酒を購入して。駆け足で駅へともどった。

 
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