一路一会鉄道の旅・鉄路一会>3連休パスで廻る北海道と北奥州
   3連休パスで廻る 
  北海道と北奥州の旅
 
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 「スーパー白鳥」789系特急車両は、海底トンネルを時速140kmの速度で通過する際の騒音対策の為に開発された車両らしいが、しかし、それでもかなりうるさい。ふつうの「白鳥」などに使用されている、国鉄時代からの485系車両で通過した事は無いが、その差はどのくらいあるのだろうか?

 13:54に函館駅を出発した「スーパー白鳥28号」は、今朝方走ってきた道をもどるかたちで、北海道の大地を駆け抜けていく。しばらく海沿いを走り、やがて半島の先端部の山塊へと分け入っていくと、いくつかのトンネルを抜けて、再び青函トンネルに突入。やっぱりただの長いトンネルだった。地中・海中を走るから地下鉄か。
  車端部の壁に簡易的な走行位置の電光表示はあるが、大半はニュース記事だし、もう少しグラフィカルな表示の工夫がほしい。有名な2つの海底駅も一瞬のできごと。せめて旅客機の離陸時のように、先頭車からの映像を大型テレビで流してくれれば良いのだが。
ちなみに先頭車には展望窓がある。指定席がないと先頭車両には入れないが、混み合うのだろうか。

 ようやく津軽半島の地上に顔を出した。中小国、蟹江を過ぎると青森湾が顔を出す。併走する国道280号線・松前街道もまた何度か通った道だ。この街道の宿場町でもある油川には「田酒」で知られる西田酒造店の蔵がある。

 15:41青森駅に着く。今回はここで降りる。下北半島を縦断する大湊線は野辺地発だが、日に何本かは東北本線に乗り入れて、青森駅まで直通している。
 大湊線・青森発「快速しもきた」はキハ40系形気動車。大湊線の主力車両はキハ100系気動車であるが、よりによって快速列車がこの古いキハ40系形とは。ローカルムードは良いのだが、相当に骨董列車である。
 いまだ各地を走る同車両にくらべても、かなり手が加えられていない分類か。まあ、明日行こうは嫌というほど
キハ100系に乗ることになるのだから、北端の地にふさわしい旅情演出と自分を納得させる。

 エンジンを回し、思い車体を引きずるように「快速しもきた」は動き出す。しかし、速度が乗ると意外に軽快に走るものだ。ギシギシ鳴くスプリングクッションのリクライニングなしボックスシート。幼少期以来、久々に見た天井の扇風機。今はほとんど見なくなったメッキが鈍く光る網棚。
  今朝スーパー白鳥で走ってきた道を引き返すが、こうも別次元までに車体が違うと、これはこれで新鮮だ。

 このまま行くと下北半島の先端駅に着くころには完全に日が落ちている。結局今日は積雪に出会う事はできなかった。
 下北半島の付け根の野辺地駅でスイッチバックする。ここで20分ほど待つ。東北はスイッチバックが多い。地形の問題というよりも、バラバラに建設された私鉄を国有化して無理につなげたからなのか?

 古くから交通の要衝である野辺地では、「地吹雪」を醸す陸鶴酒造が町の中心部付近にある。目の前を八戸方面から来た特急「スーパー白鳥」が入線してきて、走り去っていく。
 リゾート列車「きらきらみちのく」も向かいのホームに入線してきた。今回の旅では時間的に乗ることができなかったが、今乗っているキハ40系を改造したハイデッカーのリゾート列車でとても同じ車両とは思えない。
 よおく見ると、切って張った感があり、 新造列車とは違う哀愁感がところどころに見える。加齢は隠せないか。


 発車を待っている間も日はどんどん沈む。半島には民家もほとんどないから、暗黒の車窓を延々ながめるより、ショートカットしてこのまま盛岡の宿へ向かおうかと弱気になる。が、やはりここまで来たからには本州最北端まで目指さなくては。
 「快速しもきた」は低いエンジン音を唸らせながら動き出した。やがて海が見える。ここから終点までは、ほとんど陸奥湾沿いに走る。有戸〜吹越間は陸奥湾に一番近づく場所で、冬季は高波の為に運休することもあるとか。 併走する国道279号線が絡み合ってくる。この国道も何度か走った道だ。大湊線に絡み合うように走るのだが、その絡み方が陸橋ではなく平面交差。つまりは踏切なのであるから、面倒である。

 大湊線は全線が平坦部を走り、直線が多く、駅と駅の間隔も長いために、意外に速度が速い。陸奥横浜駅で列車交換。昔に初めて下北半島を訪れた際、道路標識の「横浜」の文字に驚いた事があったが、下北半島の「横の浜」である。

 大湊線は半島の海岸線に沿って「傘の柄」のようにカールする為、本州最北端の駅は終点の「大湊駅」では無
く、一つ手前の「下北駅」なのらしい。だいぶ前に合併によって誕生した「むつ市」の中心は田名部へと移り、ほとんどの乗客が”市”の玄関口である「下北駅」で降りる。
 残された乗客は自分を含めて3人ほど。いよいよ終点「大湊」に到着。真っ暗で何も見えないが結構感慨深い。
 この線が計画された当時の大湊には旧海軍の大湊要港司令部があり、大湊線は軍用路線的な意味合いが強かっ
た。現在も海上自衛隊の基地がそこにある。

 いよいよ記念的な写真を撮るかと思いきや、いきなり水をさすように仕事関係の電話が。しかも長い・・・。
  列車はここで折り返して野辺地へ戻るので、荷物を置いたままにしておこうかと思いきや、追い出されてしま
う。さきほどの電話はまだ終わらず、写真どころではない。むつ市には本州最北端の酒蔵「関の井」の関乃井酒造があるが、それどころでもない。

 ようやく乗車が許され、車内に荷物を置く。電話はまだ続いている。電話の向こうの相手は自分が北端の地にいる事など知る由もない。大急ぎで列車の外へ飛び出して、携帯電話を肩にはさんで、写真を数枚撮ると出発の汽笛が鳴りひびく。運良く?携帯電話のバッテリーが切れる。せっかくの記念となる場所での思わぬ妨害が入り、機嫌を損ねたまま、列車は約1時間かけて野辺地を目指した。



 19:12野辺地着。485系リニューアル型の「白鳥34号」に4分の好タイミングで接続する。外見は新しいが、相変わらず、車体は軋む。カーテンレールカバー付近からの振動音もうるさい。
 30分後八戸駅に到着した。近代的な新幹線ホームに着いたときは今日一日の終わりを実感した。駅構内の店は早々と閉まり、キヨスクには弁当はない。発泡酒を買い込んで、「はやて34号」に乗りこむ。この新幹線は東京行きの最終で、盛岡駅で秋田新幹線の同じく最終「こまち34号」に接続する。そしてぞの「こまち34号」には、今回の旅の最後に乗る予定である。

  「はやて」は全席指定席だが、立席では乗れる。盛岡までたかが40分だが、もはやここはゆったりと席に沈み込みたい。窓口で指定席を取ろうとすると、実は八戸―盛岡間は立席でも席が空いていれば座ることができるとの事。もちろんその席の乗客が着たら席をどくことになるのだが、1車両に5人ほどしかいないこの車両で、問題はないだろう。ちなみに全席指定の「こまち」も秋田ー盛岡間は同様に指定券なしで座ることができる。
 新幹線は在来線とは別次元の乗り物である事をあらためて感じた。列車というよりも飛行機に近い。
20:34盛岡に到着。さっさと宿へ向かいたいところだが、やはり、ここで秋田新幹線「こまち」とのドッキングシーンを見ておきたい。



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