一路一会鉄道の旅・鉄路一会>3連休パスで廻る北海道と北奥州
   3連休パスで廻る 
  北海道と北奥州の旅
 
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<3日目>

 いよいよ旅の最終日。初日の4時起き。2日目の5時起きにくらべると、今日は6時起床なので、なんだかゆったりした気分である。宿を出て驚いた。昨日の夜はかなり雪が降ったようである。雪を踏みしめ盛岡駅にたどり着く。

 今日これから乗る、花輪線は”幻の1番線ホーム”から出発する為、他の在来線とは直接乗換ができない、孤立した場所にあり、ややわかりにくい。
 いわて銀河鉄道は東北新幹線八戸延伸に伴って、青森県の「青い森鉄道」と共に第3セクター化された岩手県側の旧東北本線である。盛岡から先の東北本線は八戸までの区間は無くなってしまったわけだ。しかし、花輪線は東北本線の好摩駅から分かれ、大館までの106.9キロを八幡平の山間部を3時間かけて走り抜ける山岳ローカル列車である。よって途中の好摩駅まで旧東北本線を共用する為、第3セクター線のホームに「村八分」状態となってしまった。
 旧1番線は頭端式1面2線ホームに改造された為、0番線というホームがある。花輪線は0番線に停まっていた。
1番線にはいわて銀河鉄道の701系通勤列車が停まっている。
 花輪線の車両はキハ110系気動車2両編成で、2:1対面固定式ボックス席のセミクロスシートであった。

 花輪線の盛岡駅・始発は6:55である。さすがに7時ともなれば、2月といえどもだいぶ明るくなってきた。
花輪線は新幹線高架の橋脚に沿って走り始める。しばらく頭上を走っていた東北新幹線は、やがて地中へと潜っていった。旧東北本線・いわて銀河鉄道の線路を走る。分岐の好摩駅は4駅目である。徐々に太陽が昇ってくる。逆光で幻想的な朝の風景。左手にはマゼンタに照らされた富士山のような岩手山。「南部片富士」とも称される。

 好摩から東北本線に別れをつげ、いよいよ花輪線の始まりだ。列車は岩手山を軸に反時計まわりに進む。山塊がどんどん近づいてくる。大更(おおぶけ)をピークに線路は岩手山に別れを告げ、安比高原へと登っていく。ここから十和田まではひたすら東北自動車道と絡み合いながら併走する。いつも車で走る高速道の下を今は列車で走っている。高速道路とが競合相手なので、花輪線の経営状況は芳しくないらしい。利用層が違うと思うのだが。

 右手に田代高原、左手に安比高原に八幡平。これからあの山を越えていくのだ。興奮する。列車は八幡平へ向けて33‰の勾配を登っていく。盛岡から約1時間の地点が安比高原駅。
 東北自動車道が八戸自動車道と分岐する安代ジャンクション。安代町の玄関口である荒屋新町駅を過ぎると、最初の山越えである。兄畑を過ぎると岩手県から秋田県に入り、湯瀬温泉である。この区間が花輪線で最も秘境ムードを味わえる。分水嶺を越えて、日本海に流れ込む米代川沿いに列車は進み、いよい路線名となった鹿角花輪駅に到着する。かつては国境をひかえた交通の要衝で、現在も山間の中核都市である。盛岡を発って2時間の場所である。鹿角花輪を出ると、すぐにスイッチバック駅である南十和田駅である。進行方向が変わる為しばらく停車。

 南十和田とは言うが、十和田湖からは相当離れている。もともとは毛馬内と呼ばれた南部藩の小城下町・在郷町で現在も「こみせ」という豪雪地帯特有のアーケードを持った商家の町並みが残る町。十和田湖の南の玄関口として観光目的に改称されたもの。



  スイッチバックで進行方向を変えるので、私も車両を移る。ここから終点の大館まではあと少し。
キハ110系・100系はワンマン運転対応で、運転席横のスペースは開放されており(仕切はある)フロントビューが堪能できるのだが、 この花輪線は列車の連結方法がよろしく無い。

  気動車つまりはディーゼル列車の煙突は、車両先端にあり、煙突を隠す為の太い柱が運転席の逆側にある。普通はこの煙突側の先頭車は連結の内側に持ってくるのだが、この列車は前後の運転席側にこの太い煙突が来ているのである。よって視界が悪い。 列車は奥羽本線を大きく乗り越え9:59大館駅3番線に到着した。

 このまま、奥羽本線で弘前入りしても時間を相当に持てあますので、急遽少し寄り道をする事にした。
秋田方面へ数駅もどり、昨日乗った田沢湖線の角館を結ぶ、秋田内陸縦貫鉄道が接続する鷹ノ巣駅を見ておこう、こうすると、ちょうど特急「かもしか」への接続もいい。これは青森行きの鈍行701系列車を避ける為でもあり、一石二鳥な作戦でもあった。

 1番線に入線してきた秋田行き奥羽本線・各駅停車に乗り込む。案の定、旅情感の無いロングシートの通勤列車701系である。奥羽本線は単線だが糠沢からは複線になる。その先鷹ノ巣からは再び単線になるのだが、この路線の幹線としての扱いが低い事を物語っている。
  鷹ノ巣までの間にJR貨物と3回すれ違う。首都圏では貨物駅が次々と閉鎖・売却・再開発されているが、地方では貨物輸送はまだまだ健在のようだ。さらに寝台特急日本海3号がすれ違った。近いうちに廃止されらしいことを旅の出発前にニュースで知っていたので、偶然にも見納めに立ち会う事ができた。
 
  鷹ノ巣に10:21到着。特急「かもしか」が来るまで、約25分ほどある。オレンジ色の秋田内陸縦貫鉄道(通称:縦貫線)をシャッターにおさめ、駅前のシャッター商店街を歩くも、古い町並みは気配すら感じられない。ちなみに縦貫線の駅名は「鷹巣」と書く。



 見るものが無いので、意外に時間を持てあました。 10:47「特急かもしか1号」がやってきた。車両は484系のあまり化粧直しが行われていない車両。しかも3両編成におどろいた。こんなのがあるんだ。と。
 着座してまたおどろく。シートは固定しないリクライニングで、何度も跳ね戻り後ろの席の方に迷惑をかけた。シートバックテーブルも無く、その変わり窓にちょこんとミニテーブル。なつかしい。さらにアームレストに格納式テーブル。窓は汚く、上部からたれるサビ水の汚れが視界を邪魔する。
 
 さきほど来た道をもどり、大館駅を過ぎると国道7号線に沿って弘前・青森を目指す。この先は秋田・青森国境の矢立峠である。峠の秋田側には温泉旅館と隣接する「道の駅・やたて峠」があり、車での旅の際には、しばしば車中泊の拠点とした。奥羽本線の下りは峠をめざす急勾配を少しでも緩やかにする為に、大きく迂回するトンネルで別ルートを取り再び合流する。その合流付近の雪の中に、三脚と望遠レンズで構える「鉄っちゃん」の一団がいた。
 かつて、重連機関車で登った矢立峠は、長い3180mの矢立トンネルでひとっ飛びである。トンネルを抜けると青森県。津軽氏が秋田への関所として設けた碇ヶ関、大きな山椒魚が地名の由来となった津軽藩の湯治場、大鰐温泉を過ぎると、いよいよ津軽平野に入る。列車は弘前駅の1番線に11:40到着した。



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