一路一会>鉄道の旅・鉄路一会>青春18キップで廻る・北近畿・餘部鉄橋の旅 | ||||||
青春18キップで廻る |
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序章 |
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「とりあえず、西に行こう」 JR各社のうち、JR東日本のみが年間を通して”乗り放題”の「得々キップ」を出している。「土日キップ」に「3連休パス」がそれであり、価格は「青春18キップ」にくらべるとだいぶ高いが、新幹線を含めたあらゆる特急列車が乗り放題だから、移動距離とコストパフォーマンスはすこぶる高い。 青春18キップの存在はかねてから知っていた。職場の同僚が毎年このキップで関西まで遠征していた。 さて、ふつう東京から関西まで東海道本線を乗り継いでいくとなると、相当な乗り継ぎが必要になる。東海道新幹線が走る今、東海道本線は首都圏、静岡、愛知、岐阜県と各地域の通勤通学輸送体系でしかない。したがって東京から東海道本線の終点である米原まで全線を通して走る列車は一本もない。現実のそれらの区間は最低でも7〜8回は乗換が必要なことは、先にも触れた「本線」であるにも関わらず、実質的に地元地域の「ローカル線」でしかない実態である。 そんな中で、仕事がら急な連休でかつ2日間しかないスケジュールで、案の定「ムーンライトながら」も確保出来ずの状態で、兵庫県は山陰の「餘部鉄橋」をめざす旅はあまりに無謀で、非常に困難なスケジュールの組立となった。少なくとも、1日目の終わりには豊岡かできれば城崎温線まではたどり着きたい思いがある。 |
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会社から帰ると、準備していた旅行着に着替え、荷物を背負って飛び出した。バスに揺られ中央本線に揺られ、石和の健康ランドに着くのは深夜0時過ぎであり、そこから入浴して仮眠につくと深夜1時をまわる。石和発の始発列車に乗るために出発するのが5時だから4時間も寝れない事になるが、それも止むえなかった、今週は蒸し暑く駅で野宿するには体力はなかった。 東京の通勤圏を走る中央本線はオレンジ色の通勤車両で、現在はその大半が新型E233系に置き換わっている。だが、高尾から先は「中央東線」と称され、中距離近郊路線を通り越してローカル色が強い。高尾駅に降り立つ事自体が初めてであり、これだけでも興奮の始まりである。この高尾は、高尾山の玄関口であり、大菩薩峠をひかえた麓の駅でもある。まわりを山に囲まれ秘境っぽさもあるが、鉄道の要衝であるため、駅は広く引き込み線には何本もの新型車両が停まっていた。 ホームで、中央本線の入線を待ている間、しばらくして目の前を貨物列車が豪快に通過していく。東北旅行では何度も目にした貨物列車であるが、首都圏でもまだまだ健在なのだなと、無知ながら感心した。貨物を牽引していた機関車は新型の「ブルーサンダー」の愛称をもつ重連のEH200系で、大編成の貨物列車を間近で見ると迫力ものであった。 貨物は石油燃料のタンクである。 それからしばらくして、115系3両編成(573M)が入線してきた。クリームと紺色の通称「スカ色」とよばれる2トンカラーの電車。ここからが旅の始まりである事を感じさせるにふさわしい車両である。 |
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