さて、ここから再び長い道のりが待っている。明日は定時出社なので、なんとしても今日中に東京に戻らなくてはならない。
山陰本線は9:33豊岡駅に到着。ここからは別料金で、北近畿タンゴ鉄道に乗る予定を立てていた。ダイヤの関係で普通列車の接続が無いため、特急列車に乗ることにした。ちなみにこの特急列車は宮津から先は、各駅停車で普通車の扱いとなる。
北近畿タンゴ鉄道宮津線は、もともと国鉄宮津線であったものの、別会社となった今は、駅舎もホームもJRとは直結しておらず、一度外にでて歩かなくてはならない。ホームに停まっていたのはKTR8000形気動車「タンゴディスカバリー」64号の2両編成だった。この車両は富士重工業製で、ヘビに似た奇妙なデザインだが、車内はラウンジや前面展望席があり、そのレベルは高かった
北近畿タンゴ鉄道は第3セクターながら、新造の特急列車を多く製造している。特に、「タンゴエクスプローラー」のKTR001形気動車は、そのへんの私鉄の特急列車の上をいくデザインである。
自由席は1両目で、他に乗客の姿は数名しかおらず、自由に席を選ぶことができた。フロントビューが堪能できる最前列は1席しかなく、横の窓の配置もよく無かったので、その後ろの2列目席に座った。それでもフロントビューは良い。10:05タンゴディスカバリーは豊岡駅を出発した。今風なインテリアの特急車両だが、やはりディーゼル車。特有のエンジン音を唸り、ねばり強く加速していく。
今回、わざわざ別料金を払ってまでこの第3セクターの列車に乗ったのは、訳があったのた。丹後半島は、私にとってお気に入りの場所であり、過去に何度も訪れていた。特に最初に自費で購入した車で旅をしたのが、この丹後半島であり、風光明媚な久美浜の地であった。さらに、舞鶴市と宮津市の境を流れる由良川に架かる橋梁。これも一度は列車で渡ってみたかったのだ。
やがて列車は美しい久美浜湾を周回して、丹後半島の付け根を横断していく。京極氏の城下町・峰山や丹後ちりめんで栄えた丹後大宮、その次の・駅野田川も同じく丹後ちりめんで栄えた加悦の玄関口です。やがて丹後半島最大の観光地である天橋立を通り抜けると、またまた美しい栗田湾で列車は徐行。丹後半島の中心的町である宮津を過ぎると、いよいよ由良川河口にかかる由良川橋梁を渡っていった。ここもこの路線の醍醐味であり、列車は速度を落として、水面に近い低い橋梁を通過していった。
そして列車は終点の西舞鶴に到着した。しかしなんで1つ先の東舞鶴までいかないのか? わざわざ小浜線に乗り換える1駅の為に、列車本数の少ない舞鶴線を待たなければならないのだ。ちなみに特急タンゴディスカバリーは東舞鶴まで行くのだが、今乗ってきた特急はさきほど言ったように、宮津から普通列車扱いなのだが、そんなことは知らん。舞鶴線の接続時間は1時間近くあるのだ。
しかたなく駅前のロータリーを歩いていると、ちょうど東舞鶴行きのバスがあったので、飛び乗ってみた。
が、
西舞鶴と東舞鶴は意外に遠かった。予想以上に運賃も掛かり、おまけに数分の差で小浜線への接続は叶わなかった。まあ、しょうがないので昼食でもと、せっかくだから日本海の幸を、と思ったが毎度の事ながらそれらしい店は無い。というよりも、大型連休ではその多くは閉まっているが通例であった。
しかたなく、辛うじて開いていたホテル併設の定食屋でランチサービスを食べた。
13:35小浜線125系(935M)で東舞鶴駅を出発。車内はかなり混み合っていた。15:36敦賀駅に到着。ここから上りの米原方面へは3回ほど乗り換えなくてはならないが、正午の時間帯はほとんど列車がない。本線なのにローカル線なみのダイヤだ。しかし、特急列車はひっきりなしに走る。
仕方がないので、米原まで別料金1,550円で特急に乗ることにした。ジャストタイムで15:46北陸本線臨時特急の「しらさぎ98号」3両編成(8004M)がやってきた。時刻表には載っていなかった列車だが、よくよく調べると臨時列車の項にちゃんと載っていた。快適な乗り心地で。かつ鈍行を待って乗り継ぐよりも3時間近く稼ぐことができた事は、体力の温存に貢献してくれた。16:20特急しらさぎは米原駅に到着。
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